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【技術記事】鉄製ボルトにSUSのワッシャー?

3 10月 2017
comment

テキスト: アンダース・ブロムクヴィスト

正しい材料の組合せって?

※本記事はBOLTEDマガジン 2017年第2号に掲載されたものです

 

Q: ステンレスのノルトロックワッシャーを鉄(鋼)のボルトに使用できますか?

A: イエス。ねじのピッチにおいて、ステンレス製ボルトと鉄(鋼)製ボルトに違いは無いので

「ノルトロックの機能上は」使用できます。ですが、最善の方法は全てのパーツを同じ材質で統一

して締結することです。なぜなら、もし、ステンレス製のノルトロックワッシャーを強度区分 10.9

や 12.9 といった鉄製の高強度ボルトに使用した場合、強度の違いによってワッシャーが変形して

しまう恐れがあります。ステンレス製ワッシャーは表面層だけを硬化させており、高強度の鉄製

ボルトを高軸力で締結すると、ワッシャー内部の比較的軟らかい部分が塑性変形を起こす可能性が

あるのです。ノルトロックステンレス製ワッシャーの機械的性質として、鉄製の強度区分 8.8 相当の

強度となるため、強度区分8.8 かそれ以下の鉄製ボルトには、ノルトロックステンレス製ワッシャー

は問題なくご使用いただけるでしょう。

 

もう一つ、忘れてはいけないことがあります。ノルトロックステンレス製ワッシャーと鉄製ボルトの

組合せを設計する場合、特に「ガルバニック腐食」と呼ばれる異種金属間の電位差による腐食

(通称:電食)に配慮しなければなりません。ガルバニック腐食は、異なる金属材料が水を含めた

通電性のある液体中で接すると発生し、金属を劇的に劣化させてしまいます。ガルバニック腐食が

起こると、一方の金属はアノード電極(電池で言うプラス極)となって腐食スピードが加速され、

他方はカソード電極(電池で言うマイナス極)となり通常より腐食スピードは遅くなります。ノルト

ロック鉄製ワッシャーには、この原理を応用したデルタプロテクト(亜鉛フレークコーティング)が

施されています。

 

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【ニュース】BOLTEDマガジン最新号!

BOLTEDマガジン 2017年第2号
先行ダウンロード開始

2017年9月号のBOLTEDマガジンが発刊!ボルト締結の「今」をお届けいたします。

 

今号のBOLTEDではいつものボルト締結とは少し角度を変えて、可動部の摩耗にスポットを当てて

います。どういったメカニズムで可動部の摩耗は発生し、現在それに対してどのような解決策がある

のか。またそれらはどの程度効果があるのか。それらを徹底検証して行きます。

 

具体的な事例では、デンマークで砕石・解体・廃品リサイクルに関わる重機部品を取り扱うヴィゴ・

ベンツ社での事例を交え、可動部の摩耗を完全解決するエクスパンダー・システムを詳細に解説

いたします。また、「超」が付くほど厳重に密封保護する必要のある放射性物質輸送用コンテナでの

ノルトロックワッシャー採用事例や、先日発表となったボルト締結業界で世界初となるライフタイム

ワランティのお話もCEOのオーラ・リングダウルから語られます。今号も是非、お楽しみください。

 

※BOLTEDマガジンは現在下記の9カ国語でお楽しみいただけます

 

ノルトロックグループが発行するボルト締結の専門誌「BOLTEDマガジン」無料購読は以下より
お申込いただけます。

 

【エキスパート】疲労強度向上のための考察

29 8月 2017
comment

テキスト: ズハイール・チャイブ

※本記事はBOLTEDマガジン 2015年第2号に掲載されたものです

 

Q: ボルト締結体の疲労強度向上のために、どのような点に注意すべきでしょうか?

 

A: ボルト締結体の疲労強度は、その静的強度と比較すると非常に小さなものです。疲労強度向上の

ために設計者ができることとして、ねじ部の強度向上、そしてねじ部にかかる応力の軽減があります。

まずねじ部の強度向上という点ですが、これは切削ねじではなく転造ねじの使用をお勧めします。

また、ねじ部への応力軽減という点については、ボルト径を上げて少数のボルトで締結するのでは

なく、ボルト径を下げてボルト本数を増やしてください。これによってボルトの本数分、応力が

分散されるためです。

 

ボルト締結体の疲労強度は、スーパーボルトやフレックスナットのような、ねじ部への応力を分散し、

締結部に弾性を与える事のできる締結部材を使用することでも向上できます。疲労限度向上のために

最善の方法は、ねじ部のどこか特定の地点への応力集中を避けることです。これには主に3通りの方法

があります。応力集中を設計レベルで避ける方法、締結作業レベルで避ける方法、そして締結体に

緩みが発生することを避けることで応力集中を避ける方法です。

設計レベルでは、ボルト締結部の応力分散や、締結体への外力を軽減するよう配慮することで疲労強度

の向上に繋がります。これにはちょっとしたコツがありますので、以下を覚えておいてください。

 

  1. 軸力を可能な限り高く設定する
  2. できるだけボルト径を小さく、ボルト本数を多くして、応力を分散させる
  3. 締結部材の相手材への接地面積を可能な限り大きくする
  4. ボルトの締結長さを可能な限り長くする
  5. 可能な限り常に、かかる外力以上の軸力を保持する

 

設計レベルでの疲労強度向上策には、他にも金属のなじみ、クリープ、熱による膨張収縮サイクル等

による非回転緩みに対抗できる弾性部材(ノルトロックXシリーズワッシャー等)の使用等があり

ます。締結作業に関しては、必要な軸力を確実に得ることが最も重要です。締結体が十分な軸力を

保持して相手材と固定されている限り、応力は1点に集中することなく分散されて行くからです。

締結精度を確保するためには、校正済みの工具を使うことも大切です。また、得られる軸力の精度を

向上するには、摩擦係数を低く抑えてバラつきを安定させるために各締結体に合った潤滑油を使用

することもお薦めいたします。これは勿論、ねじ部のかじり防止という点でも役立ちます。

摩擦係数のバラつきは、同じトルクで締結しても軸力がバラついてしまうことを意味します。望ましい

作業手順があってこそ、完璧なボルト締結が実現できるという点を常に忘れないでください。

 

最後に、締結部の軸力保持という点については、緩みからボルト締結体を守るという1点に尽きます。

先ほど潤滑油をお薦めしましたが、中には潤滑油を使用することで緩みやすくなるのではないか、

という懸念を抱く方もいるでしょう。当然です。しかし、締結体にかかる外力を軸力が上回っていれ

ば、つまり締結体が緩む環境に無ければ、潤滑油によって摩擦係数が下がっていても関係なく、緩み

が起こることはありません。発生し得る外力が想定し切れない場合は、ノルトロックワッシャーの

ように摩擦に左右されない機構を持った緩み止め製品を使用することで保険をかけることもできます。

(トルクと摩擦、軸力の関係については工学博士・酒井智次先生のインタビュー記事に詳細)

また、疲労耐性という点では締結体を疲労亀裂の原因となり得るサビ・腐食から保護することも重要

で、これは適正な材料やコーティングの選定によって担保できるでしょう。

 

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ご相談・ご質問は、experts@nord-lock.comにて承ります。

世界中の鉄道を支えるノルトロック

どれだけ過酷な振動でも
物理的に緩みを許さない唯一の製品

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

 

20数年前に車両に初めて採用されたノルトロックのウェッジロックワッシャーは、世界中の鉄道業界

において、台車・連結器・ブレーキシステム・艤装・保線・枕木等ありとあらゆるボルト締結で使用

されています。

それは、ノルトロックワッシャーが列車運行による過酷な振動環境下でもボルト・ナットの締結力を

確実に保持できることが、その実績によって証明されているからです。例えば、絶えず列車の大きな

荷重と風雨風雪に晒され続ける線路上の分岐器は高度で複雑な構造をもっていますが、最小限の

メンテナンスで最大限長期間に渡って使用できるものでなければな りません。

 

ノルトロックSC(Steel Construction)ワッシャーは、鉄道会社が保全作業による列車遅延や運休で

生じる機会損失を避けるために使用されています。経年劣化による損傷が激しくなった橋梁の補修・

架替工事を行う際、現場に仮設橋梁を建設して列車運行を確保しますが、この鉄骨製の仮設橋梁には100%確実 なボルト締結が不可欠です。従来であれば、このようなボルト 締結は巨大な外力に負け

ないよう相当に大きな軸力を発生させる必要がありますが、ノルトロックワッシャーを使用すること

でボルトや相手材の耐力目一杯の軸力を発生させる必要がなくなる場合もあります。

 

また、架線柱や信号機柱も、列車の通過による風圧や振動に耐えなければなりません。軌道上の支柱

本数は当然ながら 非常に多く、信頼性の高いボルト締結によってメンテナンス回数やコストを最小限

に抑えることは極めて重要です。

そしてノルトロックXシリーズワッシャーは、その形状によ って戻り回転を起こす回転緩みだけ

でなく、相手材のなじみや塑性変形による回転を伴わない非回転緩みにも同時に対応する唯一の製品

です。なじみの影響が大きい締結長さの短いボルトや、樹脂等の非金属やアルミ等の軟金属との締結

でも、ボルト締結の安全性を更に一段上のレベルへと高めることができます。

 

Xシリーズワッシャーの直近の事例として、線路沿いの防音 壁が挙げられます。2030年までには

ドイツ国内だけでも、列車通過による過酷な振動や風圧に晒される防音壁3,000kmに及んで

Xシリーズワッシャーが取り付けられる予定です。コンクリ ート用ボルトとXシリーズワッシャーの

組み合わせは、元々は防音壁を設置する仕様にはなっていなかった既設橋梁にも、防音壁の建設を

可能にしています。

【採用事例】ラジコン飛行機エンジン部の固定

29 6月 2017
comment

テキスト: チャド・ヘンダーソン

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

マレーシアのサラワク北東にあるミリという沿岸部の町で空を見上げると、ノルトロックワッシャー

がラジコン飛行機に乗 って空を飛んでいる姿が見られるかも知れません。この個人向けラジコン飛行

機は、ビョンド・ホライゾン社によって販売されているものですが、同社はドローンを使って企業

向けに写真や動画の空撮を行っている会社でもあります。

「ドローンと違い、当社のラジコン飛行機はガソリンエンジンを積んでいます。」とビョンド・

ホライゾン社のファズリ氏は自社製品を解説してくれました。「ガソリンエンジンは振動が激しく、

トラブルが付き物です。フレームが木製で、エンジンとその周辺部は鉄製なのですが、それらを締結

するボルトが、たった4~5回のフライトで緩んでしまうんです。」

 

ファズリ氏は同社のラジコン飛行機は構造上、エンジン部付近を修理するのがとても難しく、その

ためボルトの緩みは大変な問題だったのだと言います。しかし、ファズリ氏の友人にノルトロックの

販売を行うマユラ・エンジニアリングに勤務する方がおり、ファズリ氏に奨めてくれたのだそうです。

「試しに1箱買ってみようかという気持ちで頼んだんですが、今では飛行機を組み立てる時に私の方

が自社のお客様全員に奨めていますよ。」とファズリ氏は笑います。「ノルトロックワッシャーを

使えば増し締めをする必要が全くなくなり、エンジンもずっと元の場所にキープされます。もし

ボルトが外れて飛行機から鉄製のエンジンが落っこちて来たりしたら、それはもう大問題ですから

ね。」

ファズリ氏はラジコン飛行機を販売しているだけでなく、彼自身もラジコン飛行機の愛好家です。

「1997年からやってます。趣味でね。面白いですよ。週末にのんびりとラジコン飛行機を飛ばして

いると、まるで本物の飛行機に乗って空を飛んでいるような、何とも言えない良い気分になるんです。

あなたも1台、いかがですか?」

【電力事例】:潮力コンバータフレームの締結

31 5月 2017
1 comment

テキスト: Nic Townsend

コルパワー・オーシャン社が挑戦する潮力発電

波の動きを電力に変えて

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

 

次世代エネルギー。地球の表面の70%が海で覆われていることを考えれば、潮力は巨大な可能性を

秘めた未開発のエネルギーソースだと言えます。問題は、殆どの潮力コンバータがどうしようもない

程大きく高価で、実用化の目途が立っていないことです。しかしスウェーデンのコルパワー・オー

シャン社なら、この問題を解決できるかも知れません。

同社のコンパクトな潮力コンバータは、波の周期的な動きに伴って稼働し、その力を増幅して電力に

変換します。コルパワー・オーシャン社の設立者で心臓専門医であるスティグ・ランドベック氏は、

人間の心臓が脈を打つ動きにヒントを得て、この潮力コンバータの基本的なコンセプトを開発しま

した。心臓は膨張することで圧を蓄えた後に収縮し、また元に戻る動きを繰り返します。同様に、

同社の潮力コンバータもブイが波で持ち上げられた後に空圧システムのようなものでブイを引き

下ろして電力を得る構造です。

 

この構造によって、より小さなサイズでより大きな発電量をもつコンバータが実現できました。直径

8Mのブイであれば、およそ250キロワットの発電量が見込まれています。これは200世帯分の電力

消費を賄うのに十分な電力量です。

「潮力というもののポテンシャルを考えれば、潮力発電は地球全体の電力消費量のうち10~20%は

賄えます。」コルパワー・オーシャン社CEO、パトリック・メラー氏は大きな可能性を秘める潮力

発電を、このように説明してくれました。「潮力発電は、再生可能エネルギーの中でも最大のポテン

シャルをもっています。そのエネルギー効率は風力の5倍、そして太陽光の10倍を超えます。潮力は、

風力や太陽光よりも安定しており、先の動きが予測しやすいエネルギ ーソースでもあります。2~3

日後に海面の波がどういう状態になるか、誰でも簡単に予測できるでしょう?」

 

現在同社の潮力コンバータは、2017内に開始予定の実機を使った試験に備え、シミュレーション

テストを行っています。至上命題はブイの小型軽量化と強度耐久性の向上を両立させることです。

この解決のため、同社はありとあらゆるボルト締結部材をテストし、ブイ内部のメインフレ ームの

締結部材として選ばれたのは、スーパーボルト マルチ・ジャックボルトテンショナーでした。

スーパーボルトはナットボディ周囲の各ジャックボルトを締め込むことで大きなボルトを締結できる

ため、作業はトルクレンチ1本で、非常に小さなトルクで完了できます。また、この潮力コンバータを

20年間の使用に耐えられる構造にするため、スーパーボルトがもつ締結精度と軸力を保持する信頼性

も評価点となりました。そしてブイの基礎部分では、長期間に及ぶ可動の中で、波を繰り返し受けて

も確実に軸力を維持するため、ノルトロックワッシャーが使用されることになりました。

【鉄道事例】地下鉄軌道道床の特殊ボルト固定

24 5月 2017
comment

テキスト: Linda Karlsson

写真: VAG/ Peter Roggenthin, 123rf

地下鉄インフラの改修工事を数週間以内の工期で、しかも遅延や振替輸送による
混乱を伴わずに行うなどということは、以前なら考えられないことでした。
その革命的なコンクリート用ボルトがニュルンベルクで開発されるまでは。

トンネルの先に射した
未来からの光

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

 

ドイツ国内には鉄道会社が3社あり、そのうち2社は運転士のいない自動運転の鉄道となっています。

中でもドイツ南部、バイエルン州ニュルンベルクの地下鉄はドイツ国内唯一の地下鉄であり、欧州

でも最先端のインフラ設備をもっています。年間1億人以上の乗客を乗せ、1日に地球2周分の距離を

走るこのニュルンベルク地下鉄は、この街に暮らす人々の誇りとなっています。

鉄道線路と路盤の間には、道床(どうしょう)と呼ばれる列車運行の荷重を分散させる役目を果たす

層がありますが、その道床が40年に渡って使われ続けると、当然のことながら乗客の安全を確保する

ための補修工事が必要となって来ます。ニュルンベルク地下鉄では線路下に敷設されたコンクリート

製の縦枕木が、あちこちで経年劣化を起こしていたのです。

 

ニュルンベルク地下鉄の保守保全を担当するVAG社にとって、この地下鉄道床の補修工事は腰が

引けてしまうような恐ろしい工事でした。ドイツの鉄道会社は、このようなコンクリート製の縦枕木

の交換工事を行う際には、数週間に渡って工事区間の列車運行をストップするのが通例です。高圧の

刃でコンクリートを裁断するウォータージェットを用いて縦枕木を除去して行くのですが、この作業

は非常に時間がかかります。その上、地下鉄トンネル内には無数の高圧線が走っているため、これは

極めて危険な工事でもあります。工事のために長期間トンネルを閉鎖する工事費や機会損失による

コストは甚大で、ダイヤの乱れは乗客にも大きくストレスを与えてしまいます。

 

しかし、救いの手は差し伸べられました。VAG社が工事計画を練り始めて間もなく、一つの革新的な

ソリューションが彼らの目に留まったのです。ニュルンベルクの地元企業である木工用ねじや

コンクリート用ボルトのメーカーであるTOGEデュベル社が、既存のコンクリート製橋梁全体の

耐久性を向上させる新たなコンセプトの製品で、鉄道イノベーション賞を受賞したのです。VAG社

幹部の面々は、TOGE社の公開プレゼンテーションに大きく感銘を受け、すぐにこの技術を地下鉄

道床に応用することを考えました。現在、この工事はベーレンシャンツェ駅・ゴステンホーフ駅・

マクシミリアンストラッセ駅の最初の3駅区間で実施されており、2017年内には、1日に98,000人の

乗降客数を誇るニュルンベルク地下鉄第二の駅であるプレル駅でも着工される計画となっています。

この工事は道床を完全に入れ替えてしまう代わりに、長さ36センチ、重量1キロのコンクリート用

ボルトが道床全体の耐用年数を延ばすべく、列車の荷重を受け止める部材として使用されました。

そのボルトは特許を取得した特殊なねじ山を備えており、コンクリートにねじ込まれると、穴の壁面

にねじ山が切れ込んで行く構造になっています。ボルトに発生した締結力は、この切れ込んだねじ山

から基礎に伝わってコンクリートを強力に固定するという仕組みです。

TOGE社のテクニカルダイレクターであり、このボルトの開発者の一人、ヴァルデマー・グンケル氏

は、このプロジェクトがいかに有効なものかを以下のように解説してくれました。

「列車の運行停止期間を設けることなくコンクリート製の縦枕木を全て撤去し、新しいものと入れ

替えるという計画は、現実的ではありませんでした。しかし、ここニュルンベルクで行われた工事で

は、我々のボルトは夜11時から翌4時までの間に行われ、始発までには全てが常と同じ状態へと復旧

することができました。」

 

この作業時間中に列車運行をストップしなければならないレールはたった1本のみで、それも単線区間

を設けて列車を逃がしてやることで対応できました。その間に経年劣化を起こして脆くなったコンク

リートの縦枕木を裁断し、新たなものと入れ替える作業を行いました。結果として、全てのコンクリ

ート製縦枕木は無事、地面に固定されました。このボルトはドリルのようにコンクリートにねじ

込まれる必要があるため、正確に垂直方向に傾かないよう挿し込む必要があります。だからこそ、

今回のボルトにはノルトロックXシリーズワッシャーが採用されました。Xシリーズの皿ばね形状は、

通常のノルトロックワッシャー同様、ウェッジロッキング機構によって振動に起因する回転緩みを

防止するだけでなく、ボルトの傾きも防ぎます。

 


 

FACTS: ノルトロックのソリューション

  • 顧客: TOGEデュベル社
  • エンドユーザー:VAG社(VERKEHRS-AKTIENGESELLSCHAFT NÜRNBERG/鉄道保 守会社)
  • 場所:ドイツ・ニュルンベルク
  • プロジェクト:地下鉄線路下の道床部リノベーション工事(列車運行不干渉にて実施)
  • ソリューション:特許取得済みの特殊なねじ山を備えたコンクリート用ボルトにて 既存強化コンクリートを補強
  • ノルトロック製品:複合型ウェッジロックワッシャー「ノルトロックXシリーズ」幅広タイプ(NLX24sp)

 

得られた成果:

  • 多様な使用環境下での信頼性
  • 列車運行による変動荷重下での安全性
  • 問題発生時に迅速対応を可能とする強固なパートナーシップ

ボルト締結の第一人者が語る理想の締結

10 5月 2017
comment

テキスト: Keisuke Okada

本誌BOLTEDマガジンは、日本のボルト締結の第一人者である工学博士、酒井智次氏にインタビューを行う貴重な機会を得た。酒井氏の著書「増補 ねじ締結概論(養賢堂)」はボルト締結のバイブルとして、その発刊当初から高く評価され、賞賛を集めている。

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

「ねじ締結概論」でも触れられている、酒井先生の考える理 想の締結とはどのようなものでしょうか?
「一口で言ってしまうと、特殊なものでなく広く普及した汎用のねじ部品を用いること。そして、これが問題なのですが、あらゆる不具合を起こさない、そういうねじ締結設計を行うことです。たった一つの不具合でも起こってしまえば、それで全てダメになる。だから、あらゆることに目を配っていなければいけないし、全てにおいて不具合を出さない、というのが理想です。「評価漏れがない」というのが、私が最も重要視するポイントです。」

ボルト締結体にとって、潤滑油の使用はメリットになりますか?
そうです。摩擦係数を小さくするということは、被締結体同士が滑りを起こさないという前提の下で、あらゆる面において良いことです。しかし大前提として、緩みというものは被締結体同士がある大きさ以上の滑りを繰り返した場合には「緩む環境」にあるから、摩擦係数が小さければ緩みやすいし、摩擦係数が大きければ緩みにくい。

じゃあ、摩擦係数が小さいとすべて緩むのかと言われると、被締結体同士が滑っていない場合は「緩む環境」にないですから、この場合は摩擦係数がいくら小さくても緩みやすいということはありません。

滑りの原因となる外力について、せん断方向、軸方向、そしてねじれという3つがありますが、その辺りの お考えはいかがでしょうか?
外力がせん断方向であれば滑り、外力が軸方向であれば被締結材が離れてしまう遊離という現象が起こってしまいますね。そういう状況では摩擦係数が小さいほど、明らかに緩みやすい。ねじれの場合は、座面の摩擦係数がこの範囲に入った時に緩んでしまうというものがあるんですが、これは複雑な相関関係があります ので摩擦係数の大小だけで一概には言え ません。

その滑りに関して、私の「ねじ締結概論」には古い考え方で書かれています。私の本では「マクロ滑り」という座面のところで被締結体が滑ることを言っています。被締結体がこれだけ滑ると、座面にも滑りが出てしまうという被締結体の座面に滑りを許さない限界滑り量という考え方なんですが、これは目視で明らかに確認できる滑りです。0.1mmあれば目で見てわかりますか ら。ところが 1988年くらいから限界滑り量に達していなくても、目に見えないような

小さな滑りが実はじわじわと出ていて、緩み方向に回ったかどうかも目視できない程度の微小な回転を起こして、軸力が徐々になくなることがあるというのがわかって来た。その現象は「マイクロスリップ」ないしは「微小滑り」と呼ばれています。微小滑りからの緩み、その発端になったのが1988年くらいに精密工学会誌に載った論文でした。

例えば、被締結体が接触しているとします。その接合面のこの地点でどれだけ滑りが起こっているか、また別の地点でどれだけ滑りが起こっているか、従来の実験では不可能ですが、これが有限要素法(FEM)というものであれば、全部計算できるんです。その有限要素法が2000年くらいから、ねじの分野にも適用されるようになって、それを用いた論文もたくさん出て来ました。今やねじの研究は 殆ど有限要素法です。2006年に東大の泉聡志先生が書かれた論文を見ると、マクロスリップ(目視できる明白な滑り)ではなく、マイクロスリップ(目に見えない微小滑り)が起こっていても、少しずつ緩み回転をし始めていると、そういう結果が出てるんですね。私も初めてそれを読んだ時は非常にシ ョックでした。

その泉先生の論文を見ると、マイクロスリ ップと言われる微小滑りでも、繰り返されると微小な緩み回転、例えば1000回で1度、1回あたり1/1000度ですが、そういう微小な緩み回転が起こっていると。1/1000度なんて肉眼ではとても観測できません。しかし 有限要素法であれば、完璧に出るんですね。有限要素法で見ると、実は微小滑りでも緩み回転は起こっているという論文が出て来た。こりゃ参ったな!と思いましたよ(笑)。

私は微小滑りがフレッティング摩耗にはつながると勿論思ってたんですが、まさか回転緩みの原因になるとは、当時の実験では検証のしようがなかったので結果として見逃していました。新しい有限要素法という、目に見えないものまでミクロン単位で計算できるものが開発されて、驚きましたね。有限要素法はシミュレーションなので実証するのは大変ですが、ここのところは私も最近考え方を変えなきゃいかんなと思っているところですね。

Facts: 微小滑り
被締結材間で発生する肉眼では確認できない微小な滑り。徐々に軸力損失が発生し、最終的には目に見える回転緩みに発展する。同様に、金属材料のなじみやリラクゼーション等の非回転緩みによっても軸力損失は発生する。

ノルトロックのXシリーズワッシャーは、世界で唯一、回転緩みと非回転緩みを同時に防止できる製品であり、通常のノルトロックワッシャ ー同様に回転緩みを防止しながら独自の皿ばね形状により、非回転緩みをも同時に防止する複合型ウェッジロッキング機構を備えている。

Facts: 酒井 智次先生

  • 1941年 ‒ 愛知県岡崎市生まれ
  • 1979年 ‒ トヨタ自動車勤務時に名古屋大学より工学博士の学位を授与され、主として各種自動車部品の強度・信頼性の試験・研究・開発に従事
  • 2001年 ‒ トヨタテクノサービスへ移籍。ねじに関する教育と技術相談に従事
  • 2007年 ‒同社を定年退職し、酒井ねじ締結相談室を開設。現在もねじ締結に関する教育と技術相談を続ける