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完璧なボルト締結を目指す

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【採用事例】放射性物質運搬用コンテナ

23 2月 2018
comment

テキスト: ウルリッヒ・シャマリ

写真: イラスト: ダヘル・ニュークリア・テクノロジーズ社

原子力の安全を守る
トリプル・プロテクト

※本記事はBOLTEDマガジン 2017年第2号に掲載されたものです

 

[課題]

ダヘル・ニュークリア・テクノロジーズ社は、ドイツのフランクフルト・アム・マインにほど近い

ハナウという町にあり、放射性物質の運搬用コンテナを開発している企業です。当然ながら、最高

レベルの安全性が求められます。UF6 と表記される六フッ化ウランの運搬用コンテナの新規設計を

行っていた時、同社は国際原子力機関(IAEA)の道路・海上・鉄道輸送に関する勧告を含めた

国内外での極めて厳格な規制に対応する必要がありました。コンテナがこれらの規制に対応する

には、例え輸送中に事故に遭ってもその衝撃、圧力、熱等に耐えるものでなくてはなりません。

事故によって発生し得る負荷は、120 センチの高さからの落下、9 メートル落下、そして先の尖った

地面への 1 メートル落下を含む一連の試験によって定義されます。それでもコンテナは、次に受ける

耐熱試験で火炎に脅かされることのないよう完全に密封されていなければならないという、厳格

極まる試験に合格する必要があるのです。

 

[ソリューション]

脱落を起こさない設計を実現すべく動き出しました。同社はここに高い優先度を付け集中的に研究を

行い、 254SMO 製のウェッジロックワッシャーであるノルトロックに辿り着きます。今 NL16ss-254

の品番が付いたこの製品は、ダヘル社のトリプル・プロテクト・ロック構造(図参照)において

不可欠なパーツとなっています。1 本のボルトがパーツを固定し、またそのボルトは別のボルトに

よって固定され、ノルトロックワッシャーはその 2 本目のボルトを固定するのに用いられます。各

コンテナにはこの方式で固定される 6 つの締結箇所があり、全てにノルトロックワッシャーが取り

付けられます。

 

[結果]

ノルトロックのウェッジロッキング機構によって、ダヘル社の原子力産業用輸送コンテナのボルト

締結は、振動や荷重に晒されても一切の緩みとは無縁のものとなりました。同社にとっては、緩み

対策にノルトロックワッシャーを用いることで複雑な設計変更を行うより遥かにコストを抑えられた

ことと、誰でも簡単にメンテナンス作業を行えることも大きなメリットとなりました。必要なら、

ノルトロックワッシャーはいつでも取り外してコンテナの状態が万全かどうか確認できるのです。

同社の新型コンテナの寿命は 30 年と設定されています。それは同時に、ノルトロックワッシャーが

30 年に渡ってこのコンテナを十分に支え続けられることがお客様に認められたことをも意味して

います。

【✉RE: INQUIRY】ノルトロックの再利用回数

19 2月 2018
comment

テキスト: 岡田 圭佑  文章監修:梁 完

 

※本記事は2月22日配信の無料メールマガジン「BOLTEDジャーナル」にてご紹介したものです。メールマガジンのご登録はこちらから。

 

A:ノルトロックワッシャーは、再利用可能です。殆どの緩み止め製品が再利用できない中で、

これはノルトロックの大きなメリットの一つですが、偏芯式ナットやスリット付ナット等のように

ボルトのねじ部にダメージや負荷を与えることもないため、ノルトロックワッシャー自身だけでなく

他の締結部材の再利用性を損なうこともありません。相手材表面にリブ面のギザギザの跡

(インプレッションマーク)が残りますが、これも損傷ではありませんので、ギザギザの跡の上に

そのままノルトロックを設置し直して再利用しても、緩み止め効果に影響はありません。設置し直す

際にギザギザの跡にきれいに重ねる必要もありません。

では、その再利用は何回まで行っても問題なく確実に緩み止め効果を得られるでしょうか?率直に

結論から言うと、「一概に決められない」が正解です。しかしこれは、お客様にとっては想定できる

回答の中で一番つまらない回答ですよね。そこで今回の「RE: INQUIRY」では、実際に行った試験

データの中から一部を公開し、少しでもお客様の参考材料になるようにしたいと思います。

 

実際の試験データに進む前に、なぜ「一概に言えない」のかを先にご説明しておきます。ノルト

ロックワッシャーはメンテナンス等で取り外す際、工具で締付トルク以下の緩めトルクで取外しが

行えます(そのため摩擦を利用した緩み止め製品の検証で用いられるような、戻しトルク値での効果

検証ではノルトロックの緩み止め効果を測ることができません)。実際に取り外してみると、2枚組

内側のカム山を乗り越えた際に「カチッ」という音と手応えがありますね。この「カチッ」という

音・手応えと共にロックが解除されるのですが、下図(1)のようにその際にカム山に摩耗が発生

します。

この摩耗が進行すると、上図(2)における∠αがリード角β以下の角度となり、ノルトロック

ワッシャーの「ウェッジロック機構」が機能しなくなる、というわけです。そのためこの摩耗量は、

やはり取外し時にどれだけの圧がかかっていたかによって変わってしまいます。つまり、お客様が

「そのボルトにどの程度の軸力を発生させていたか」によって摩耗量が変わってしまうために、

一概には言えないという回答になってしまうのです。

 

実際の再利用試験の結果は

まずは鉄製ワッシャーの再利用試験データからご紹介したいと思います。再利用試験はドイツ工業規格DIN65151に準拠したユンカー振動試験にて実施しています。また、ノルトロックワッシャーと他の緩み止め製品との比較検証動画もこちらからご覧いただけます。

 

■M8 強度区分10.9ボルト+NL8+潤滑(二硫化モリブデン)

本試験条件として、締付後に周波数40Hz・振幅±0.5mmの振動を10秒間与えて緩みを検証した後、

取り外すというサイクルを10回行っています。最下部のグリーンの線のみ他の線と比較して損失軸力

量が多くなっていますが、他の線含めて加振直後に起こる軸力損失は戻り回転を起こす「回転緩み」

ではなく、戻り回転を伴わない「非回転緩み」の一種である初期なじみと呼ばれる現象です。

なじみはある程度で収束するため、その後はグラフから読み取れる通り軸力は失われず、10回目の

試験前後で試験体を比較しても合いマークにズレが無いことから、10回再利用を行っても回転緩みは

起こっていないことが分かります。また、本試験ではナット座面とねじ部双方に二硫化モリブデンを

塗布し、潤滑を行っていますが、緩みは起こっていません。

 

■M8 強度区分12.9ボルト+NL8+潤滑(ゾルベスト730)

次はボルトサイズは同じM8ですが、試験条件をより厳しくしたものを見てみましょう。ノルト

ロックワッシャー2枚組外側のリブ面にとって更にグリップしにくい強度区分12.9の六角穴付き

ボルトに対し、更に潤滑効果の高いゾルベストという二硫化モリブデン・グラファイト・無機系

バインダーを含む潤滑油をボルト座部、ねじ部双方に噴霧して試験を行いました。再利用回数は

15回目と20回目のものをそれぞれ二回ずつ、同じくユンカー振動試験にてボルト降伏点の70%で

ある28kNの軸力を発生させた後、検証しています。再利用は同軸力での締結→解除を繰り返して

行いました。前回通り周波数40Hz、振幅±0.5mmで10秒間加振しています。

本試験では、同じボルトで100回に渡って締結→解除を繰り返した相手材となるスペーサー(上図右

参照)を使用しています。ノルトロックワッシャーは15回目・20回目のものを各2回ずつ計4回、

スペーサーは100回締結→解除を繰り返したものですが、結果は前の試験と同様に初期なじみでの

軸力損失が収束した後は、軸力が維持されています。グラフから読み取れる通りボルトの強度区分

が12.9に上がっている分、本試験の方が軸力が高いためカムの摩耗量も増加しますが、それでも20回

の再利用でも緩み止め効果は変わりません。ゾルベストによる潤滑を施しても緩み止め効果に変わり

がない点も特筆すべき点ですね。

 

■M12 強度区分A2-70ボルト+NL12ss-254+潤滑(モリコート1000)

次はステンレス製ワッシャーで試してみましょう。ノルトロックワッシャーのステンレスは国内で

主流となっているSUS304ではなく欧州基準のSUS316L相当のステンレス材ですが、本試験は同じ

オーステナイト系ステンレスですが更に耐食性の高い254SMO製のノルトロックワッシャーを使用

しました。試験条件は、周波数40Hz、振幅±0.5mmの加振を行い、相手母材はSUS304を試験機に

入る形状に加工したものです。

軸力16.5kNで締結→解除を15回繰り返したもの、20回繰り返したものを各2回ずつ計4回、ユンカー

振動試験にて検証しています。加振時間は3倍の30秒での試験です。

上図のうち、青い線が再利用15回目、赤い線が再利用20回目の試験結果を示しています。結果は鉄製

ワッシャー同様に、20回の再利用でも緩み止め効果に陰りは見られず、もちろん合いマークも動いて

いません。ステンレス等の合金は摩擦係数が鋼よりも大きくバラつく傾向にあるため、今回も試験体

にはモリコート1000等の潤滑油を塗布しています。

 

手元にあるノルトロックはまだ問題なく機能するか

ノルトロックワッシャーは先述の通り、取外し時に「カチッ」という音と手応えが得られ、再利用が

できなくなる程カムの摩耗が進行した場合には、当然この音と手応えが無くなります。もし手元に

あるノルトロックがまだ再利用できる状態か分からないということがあれば、すぐにその場で確認

いただける方法があります。

まずはノルトロックワッシャーを締め付けた後、取り外してみてください。緩める時、上図左の

ように、2枚組のカム同士がスライドしてロックが解除されるかどうかをご確認いただき「カチッ」

という音と手応えが得られたか、上図右のようにボルト(またはナット)と相手材側にインプレッ

ションマークが残っているか、という点でロック機能の確認が現場ですぐに行えます。

この「カチッ」という音と手応えが得られた時、ロードセルで計測ができれば上図のようなことが

起こっています。縦軸が軸力を示し、横軸がトルクを示しています(緩めるためトルク値はマイナス

でグラフに表される)。これは最初に例示した鉄製ワッシャーM8サイズの時のものですが、

マイナスのトルクが加わると、軸力が元の15kN以上に一旦上昇した後、段階的に下落してゼロに

なっていることが分かります。「カチッ」という音と手応えが得られた瞬間はカムの山を乗り越えた

瞬間で、カム山を上っている時(音と手応えが得られる直前まで)にはカム山を上る分、ワッシャー

の厚みが増す形となり、ボルトの首は引っ張り上げられ、軸力が逆に上昇するのです。つまり、緩み

回転が起こることによって逆に締まって行くというのが、ノルトロックが1982年に世界で初めて開発

した「ウェッジロック機構」の秘密なのです。

明らかに音も手応えも小さな場合は、念のためそのワッシャーの再利用は避け、新しいものに交換

いただく方が確実でしょう。

 

社内で再利用回数を規定したい場合

ノルトロックジャパンでは、本稿でご紹介した振動試験に加え、トルク-軸力試験を交えて実際に

使用されるボルト、ナット、相手母材を使用して再利用限度回数を検証する試験を行い、お客様社内

での再利用回数策定のお手伝いも行っています。特に社内規格としてノルトロックをご使用いただい

ているお客様には一般的にご提供しているサービスですので、必要なお客様はお気軽にノルトロック

ジャパンまでお問合せください。

 

※実際の現場では、使用環境に由来する想定外の因子により再利用回数も変動する可能性が無いとは言い切れません。本稿で示した試験結果はあくまで一つの目安としてご確認いただき、実際に再利用回数を規定される際は上述の通り、ノルトロックジャパンまでご相談をお願い申し上げます。

 

お問合せ✉:nlj@nord-lock-jp.com

 

文章監修:梁 完(ノルトロックジャパン エンジニアリングマネージャー)

【個人様向けFAQ】正しいサイズの選び方

 

ノルトロックワッシャーの正しいサイズはどうやって選べばいいの?というお問合せに

ノルトロックのスウェーデン人エンジニア、Fridaが動画でお答えします!

 

► 更に詳しく:ノルトロックワッシャーとは

► 動画を見る:ユンカー振動試験によるノルトロックvs他製品の比較検証

【FAQ】ノルトロックのメリットはどういうところ?

ノルトロックのメリットは
どういうところ?

※本記事は1月18日配信の無料メールマガジン「BOLTEDジャーナル」にてご紹介したものです。メールマガジンのご登録はこちらから。

 

「緩み止め」と考えると、ノルトロックを理解できない

矛盾しているように感じるかも知れませんが、ノルトロックワッシャーはボルト/ナットの緩みを

物理的に防止することが第一の目的です。しかし「緩み止め製品」かと言われると、メーカーとして

はNOと回答したくなるのです。その理由はノルトロックをお使いいただくことでお客様にもたらせ

るメリットと深く関係しています。

 

緩みを防ぐのは当たり前のこと

ボルト締結の安全性向上をサポートする立場として、最も危険で最もありふれた事故原因である

「緩み」を防ぐのは、ある意味では当然のことと言えます。他の緩み止め製品は、それが偏芯式の

ロックナットであろうとねじ山にスリットを利用して噛みつくタイプのナットであろうと、摩擦を

利用しています。ですが摩擦を利用する(摩擦係数を向上させる)ことで緩みの対策を行うという

コンセプトは、単に「緩みにくい」状態を作っているだけで「緩みを防止する」こととは意味が少し

違って来ます。加えて摩擦を増大させると作業負荷も増してしまい、作業時間が延びてしまいます。

メンテナンスでの取外しが難しくなる点も、同じく大きなデメリットとなります。

 

ノルトロックの最大のメリットは、「摩擦に依存せず、物理的に緩みを防止すること」です。1982年

に世界で初めてこのウェッジロック機構を開発・製品化することで生まれたノルトロックは、まず

この点に大きくフォーカスして製品の改良を重ねて来ました。しかしそれによるお客様側のメリット

には、単に緩みが無くなるというだけでなく、多くのポジティブな副作用が生まれます。

 

摩擦に依存しないため、締結部に潤滑油が使用できる
→潤滑が必要でワイヤーロックや折り曲げ座金しか選択肢が無かった締結部にも使用可能
→低いトルクで必要軸力が得られるため、作業効率(=コスト)が向上
→摩擦係数を最低限に抑えることでバラつき幅が最小化され、軸力精度が大幅に向上
→ねじ嵌合部や座部の摩耗・ダメージを大きく軽減し、ボルト/ナットの再利用性も向上

 

リアリスティックにコストメリットを考える

生々しい切り口で見てみると、ノルトロックワッシャーは当然、一般的な平座金より高額になって

しまいます。ですが、多くの緩み止めナットと同程度の価格帯で入手することができるものでも

あります。コストについて考える時、一昔前までは殆どの方がここで思考停止し、これ以上の考察を

行いませんでした。しかし、多くの新技術が台頭して業界環境がかつてないスピードで変わって行く

今日では、エンドユーザー様が経済的な持続可能性を強く求めるようになっています。つまり、

メンテナンスコストの削減です。鉄道事業者や電力会社を例に取るまでもなく、維持費を低減する

ことは今や死活問題となって来ているのです。読者の皆さまの中にも、この点をシビアにお客様から

迫られているという方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

 

ノルトロックワッシャーの第二のメリットは、スーパーボルトボルタイトエクスパンダー・

システムという他のノルトロックグループが供給する製品と同じく「メンテナンスコストを削減

できる」点です。ユンカー振動試験でご覧いただけるように、緩みを物理的に許さないノルトロック

は、単純にメンテナンス項目から「増し締め作業」を無くしてしまうことができます。既に見た

ように、締結部に潤滑油が使えるようにすることで、大幅に作業効率を向上させ、ボルト等の他の

締結部材の再利用性も損ないません。また、ノルトロックワッシャー自体も再利用が可能である

ため、この点もメンテナンスコスト削減に寄与できます。

 

また別の観点から、ノルトロックワッシャーにはノルトロックグループの他製品とも共通した大きな

メリットがあります。それは「作業者の技能に依存せず、誰が作業しても同じ効果が得られる」と

いう点です。特にワイヤーロックや折り曲げ座金を使用する場合、仕上がりが甘くなってやり直し、

というパターンがあります。元々が作業を食う作業である上に、やり直しまで行うと作業効率は

相当に低くなってしまいます。ノルトロックワッシャーは座金と同じくボルト軸に通して締め付ける

だけの作業となるため、この類の懸念はありません。また、この道30年のベテランが締め付けても、

昨日入った新人作業者が締め付けても、同じ緩み止め効果が得られます。これは、遠く離れた地方等

の意思疎通が難しい現場に落とし込む際にも大きなメリットとなり得るばかりか、海外でメンテ

ナンスが行われるケースでもヒューマンエラーのリスクを最小化することができます。

 

メンテナンスコストが削減できる
→メンテナンス項目から「増し締め」を無くすことができる
→上述の通り、潤滑油の使用で作業効率を向上させられる
→ボルト軸に通して締めるだけなので、作業工程を増やさない
→ボルト・ナット等の他の締結部材の再利用性を損なわない
→ノルトロックワッシャー自体が再利用可能(限度回数は締結軸力によって変わります)

高い再現性
→不完全な作業によるやり直しを無くすことができる
→熟練者でも新人でも同じ効果が得られる
→遠く離れた地方や海外等、意思疎通が難しい先でメンテを行う場合にも有利

 

ノルトロックを使うメリットは製品だけではない

ノルトロックジャパンの営業技術員は、入社後長い期間、ボルト締結の専門知識のトレーニングを

受け、習得した知見をお客様とのお話の中で役立てるだけでなく、更に深い知見を有するエンジニア

がお客様をサポートします。必要であれば実際に現場に伺い、「ボルト締結とはそもそも何か」と

いったセミナーを開催したり、超音波軸力計を用いて実際に現場でどの程度締結力にバラつきが

起こっているかを検証したり、VDI2230の計算を行ってお客様が設計されたボルト締結体の安全性

評価を行ったり、有限要素法による解析で事故原因を究明したりすることも可能です。

大阪にあるテクニカルセンターでは、実際に使用される締結部材と相手材を使用して振動試験を

行ったり、算出されたトルクで締結した時に本当に必要軸力が出ているのかロードセルによる測定で

検証したりといった各種試験も行っています。ノルトロックワッシャーに限らず、ノルトロック

グループの製品を採用いただくということは、これらのテクニカルサポートを受ける権利を手に

することも意味しているのです。

 

私たちは常にお客様が設計・製造されている機器、実際に使用されている設備をボルト締結の観点

から一つ上のレベルに引き上げるお手伝いができるよう活動しています。実際に国内でも、多くの

事業者様や設備機器メーカー様に私たちのテクニカルサポートを提供しており、単に部材を納める

メーカーではなく、パートナーとして安全で持続可能なものづくりをお手伝いしています。

 

 

ボルト締結に関するご相談・ご質問がありましたら、いつでも下記までお問合せください。ノルトロックのエキスパートがお客様の課題を共に解決するお手伝いをいたします。

お問合せ✉:nlj@nord-lock-jp.com

【技術記事】鉄製ボルトにSUSのワッシャー?

3 10月 2017
comment

テキスト: アンダース・ブロムクヴィスト

正しい材料の組合せって?

※本記事はBOLTEDマガジン 2017年第2号に掲載されたものです

 

Q: ステンレスのノルトロックワッシャーを鉄(鋼)のボルトに使用できますか?

A: イエス。ねじのピッチにおいて、ステンレス製ボルトと鉄(鋼)製ボルトに違いは無いので

「ノルトロックの機能上は」使用できます。ですが、最善の方法は全てのパーツを同じ材質で統一

して締結することです。なぜなら、もし、ステンレス製のノルトロックワッシャーを強度区分 10.9

や 12.9 といった鉄製の高強度ボルトに使用した場合、強度の違いによってワッシャーが変形して

しまう恐れがあります。ステンレス製ワッシャーは表面層だけを硬化させており、高強度の鉄製

ボルトを高軸力で締結すると、ワッシャー内部の比較的軟らかい部分が塑性変形を起こす可能性が

あるのです。ノルトロックステンレス製ワッシャーの機械的性質として、鉄製の強度区分 8.8 相当の

強度となるため、強度区分8.8 かそれ以下の鉄製ボルトには、ノルトロックステンレス製ワッシャー

は問題なくご使用いただけるでしょう。

 

もう一つ、忘れてはいけないことがあります。ノルトロックステンレス製ワッシャーと鉄製ボルトの

組合せを設計する場合、特に「ガルバニック腐食」と呼ばれる異種金属間の電位差による腐食

(通称:電食)に配慮しなければなりません。ガルバニック腐食は、異なる金属材料が水を含めた

通電性のある液体中で接すると発生し、金属を劇的に劣化させてしまいます。ガルバニック腐食が

起こると、一方の金属はアノード電極(電池で言うプラス極)となって腐食スピードが加速され、

他方はカソード電極(電池で言うマイナス極)となり通常より腐食スピードは遅くなります。ノルト

ロック鉄製ワッシャーには、この原理を応用したデルタプロテクト(亜鉛フレークコーティング)が

施されています。

 

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【✉Re: INQUIRY】ノルトロックに左ねじ用はある?

Q:ノルトロックワッシャーに左ねじ(逆ねじ)用はありますか?

 

※本記事は、無料メールマガジン「BOLTEDジャーナル」にて過去のお問合せをご紹介するコーナーです。ボルト締結の技術コラムやトレンドをお届けする「BOLTEDジャーナル」ご登録はこちら

 

A:回転部の軸部等で締結部に反時計回り方向の回転荷重がかかる場合、設計の方では左ねじ

(逆ねじ)を選択してボルトの緩みを防止する、という対策を取られることがありますね。しかし

回転部の軸であれば、回転が止まる(ブレーキをかける)際に回転とは逆方向に荷重がかかって

しまうように、時計回り・反時計回り両方の荷重がかかってしまう場合は左ねじを採用しても緩み

対策は万全とは言い切れません。また、振動への耐性は右ねじでも左ねじでも同様です。

 

結論として、ノルトロックワッシャーに左ねじ用のものはご用意していません。その理由は、左ねじ

を採用する理由が前述の通り、一種の緩み対策であるためです。どういうことかと言うと、ノルト

ロックワッシャーの緩み止め機構である「ウェッジロック機構」は、他のあらゆる緩み止め製品と

違い、摩擦を利用して「緩みにくく」しているのではなく、ウェッジロック効果によって「物理的に

緩むことができない」状態を作り出しています。それはボルトの緩み要因の大半を占める振動でも、

左ねじを採用する根拠となる回転荷重であっても同様です。つまり、外力によるボルトの緩みを

物理的に防止するノルトロックワッシャーは、左ねじによる緩み止め効果は必要としないということ

です。

 

しかし、ここで一つ疑問を持たれるかも知れません。ノルトロックワッシャーは、他の摩擦を利用

した緩み止め製品のようにメンテナンス等で緩める時、大きなトルクを必要としません。原則として

ノルトロックは締付トルク以下のトルクで取外しができるようあらゆる面で計算され、設計されて

います。それではなぜ、反時計回り(戻り回転方向)への回転荷重に晒されても緩まないと言える

のでしょうか?

これにはいくつかの前提が必要ですが、回転軸の固定の場合、理論的にはまず締結部が外力に負け

ない軸力で締結されていることが重要です。そして次に、人の手で緩める時と同じように戻り回転

方向にコンスタントに荷重がかかって来ないこと。ブレーキがかかった時の反力は一瞬の衝撃である

ため、これだけでは人の手で緩める時と同じ状態にはなりません。もちろん回転軸であっても停止時

に動力がストップするだけでブレーキ機能が無いものであれば、戻り回転方向への荷重もそれだけ

小さくなるため、問題にはならないでしょう。

 

最後の前提は、なじみやクリープ、被締結材の痩せ、へたり等、戻り回転を伴わずに軸力が抜けて

しまう「非回転緩み」が大きく発生しないという点です。非回転緩みは合いマークが全く動くこと

なく軸力損失が発生してしまう現象ですが、非回転緩みで軸力が大きく抜けてしまうと、外力に抵抗

し切れなくなり、回転緩みを誘発してしまいます。これが非回転緩みの厄介な点で、軸力損失の後に

結局回転緩みが起こってしまうため、多くの場合はすぐに原因を見定めることが困難です。

非回転緩みは更なる回転緩みを引き起こす、という点は頭に入れておくべき重要事項と言えるで

しょう。ノルトロックワッシャーを使用する場合は非回転緩みで軸力が抜けてしまった状態でも振動

への耐性は十分に保持することができますが、回転荷重がかかってしまう場合は万が一に備え、より

慎重に検討いただいた方が安全です。

 

現在、市場にはウェッジロックワッシャーとして、ノルトロックワッシャーの機構を真似た製品が

いくつか確認されています。前回の当コラムでも試験結果と共にご紹介したように、ノルトロック

ワッシャーは非回転緩みで軸力損失が起こっても軸力の大小に関わりなく、緩み止め効果を発揮

します。これはノルトロックが特許を取得した特殊な製造方法によるもので、他のウェッジロック

ワッシャーでは低軸力状態になった際に被締結材にワッシャーがグリップできず、緩みが発生して

しまいます。

しかしながら、本稿で解説した内容は一般論としてのお話ですので、お客様の締結部設計(被締結材

の材質や回転荷重の大きさ等)によってはそのまま適用できないケースも考えられます。本稿では、

ノルトロックワッシャーに左ねじ用はご用意が無いという点と、なぜご用意が無いのかという理由を

ご説明することを目的としていますが、お客様の締結部に懸念がある場合や検証を要する場合は、

遠慮なくノルトロックジャパンまでご相談ください。弊社の営業技術員と、私たちエンジニアが、

確実な信頼性のある締結部設計のお手伝いをさせていただきます。

 

 

ノルトロックのエンジニアへのお問合せ
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【採用事例】高速道路トンネル内CCTVカメラ

23 8月 2017
comment

テキスト: アラステア・マクダフ

写真: Akkadia, 06photo

その先のセキュリティを見据えて

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

[チャレンジ]
オランダの企業アッカディア社は、厳しい環境下に設置されるCCTVと呼ばれるセキュリティカメラ

を製造しているメーカーです。同社のカメラは砂漠地帯や洋上施設、果ては北極南極のような極地

まで地球上のあらゆる場所に設置されています。

2010年、アッカディア社はオランダ国土交通環境省と、オランダ全土のトンネルにCCTVカメラを

設置する契約を締結しました。トンネル内のカメラには、絶え間なく走り去る車両が起こす大きな

風圧に恒常的に晒されるため特に高い耐久性が求められます。一般的なカメラでは1年半ももたない

と言われています。

 

[ソリュー ション]
アッカディア社は、トンネル内の環境下でも10年間の使用に耐えられる耐振動性の高いステンレス製

の特殊なカメラを開発し、PTZと名付けました。このような頑強な機械を製造・維持するためには、

極めて信頼性の高いボルト締結が欠かせません。オランダ国土交通環境省は当初、公共工事で慣例と

なっていたロックナットを使用するようアッカディア社に迫っていましたが、同社はPTZが故障を

起こすことなく長期間、トンネル内をモニタリングできるものとするため、この要求を断りました。

アッカディア社は既にノルトロックとパートナーシップを築いており、CCTVシステムにも採用して

いました。同社はドイツの製品安全試験を行う第三者機関「テュフ(TÜV)」のテストレポートを

含めた信頼できる客観的なエビデンスを揃え、国土交通環境省を納得させました。PTZトンネル

カメラは鉄製とステンレス製のM6、そしてM8サイズのノルトロックワッシャーを内部構造で

採用し、M10サイズのステンレスワッシャーを土台部分に採用しています。

 

[結果]
アッカディア社のCCTVでは、カメラ本体から土台に至るまで、全ての可動部と内部構造のボルト

締結にノルトロックワッシャーが採用されています。

同社がトンネルカメラを設置して以来6年間、トラブルはただの1件も報告されていません。アッカ

ディア社は現在、およそ800種のCCTVでノルトロック製品を採用しています。現在同社は、アムス

テルダム環状線、そしてベルギー国境近くを走るアーシュトリヒト線という2件のオランダ国内の

大規模プロジェクトに400台以上のPTZを納入することが決定しています。

アッカディア社成功の背景には、自社製品に関わるトータルコストを考慮した先進的なサービス

コンセプトがあります。長期的視野に立って見れば、オランダ国土交通環境省は、故障したカメラの

修繕やメンテナンスに係るコストを大幅に削減したことになります。ランニングコストも含め、製品

納入先のエンドユーザーが将来支払って行くコストを、エンドユーザー以上にトータルに考慮し、

そのコンセプトを製品に反映させることで、真に高品質なカメラを提供しているのです。

【国内事例】アーチェリー照準器(渋谷アーチェリー様)

27 7月 2017
comment

テキスト: 岡田 圭佑

写真: 渋谷アーチェリー/岡田 圭佑

顧客:渋谷アーチェリー/用途:サイト(照準器)の固定/使用箇所:コンパウンドボウ向けサイト

All For the SURE SHOT

※本記事はJapanBOLTEDに掲載されたものです

 

アーチェリーサイト(照準器)等のブランド「渋谷アーチェリー」は、リオ五輪の出場128選手の

うち実に65名がそのサイトを使用し、24あるメダルのうち13個を生み出したという世界を席巻して

いるブランドです。製造課 係長の梅澤真一氏はある時、自社製のサイトを新たに設計するという

ミッションを託されました。“ The Choice of Medalists”というステートメントを掲げる同ブランドに

あって、これは大きな挑戦です。コンパウンドボウ向けサイトにおいては、旧モデルが抱えていた

課題の一つに、サイトを固定するねじが緩んでしまうというものがありました。計算上では、距離が

短い30m先に設置された的を射る場合でさえ、矢の発射角度がたった1度ずれてしまうだけで命中点

は50cm以上もずれてしまうのです。

 

渋谷アーチェリーの「アルティマ」照準器を開発した梅澤氏。

 

競技自体が精密さの上に成り立っているため、照準器に起こるねじの緩みがどれほどの問題なのか

は想像に難くありません。新たに梅澤氏が設計した「アルティマ」シリーズのコンパウンドボウ向け

サイト「アルティマCPX」では、ノルトロックワッシャーを用いてサイトが強固に固定されており、

発射時の弓の振動によるねじの緩みの心配がなくなっただけでなく、軽量化や特許を取得した独自の

システムが採用されています。このためルール改正により短時間で発射する必要に迫られていた射手

は、ねじを締めたり緩めたりといった調整作業が不要となり、作業効率を飛躍的に高めることができ

ました。結果、渋谷アーチェリーの「アルティマCPX」を採用するアーチャーは、より多くの時間的

余裕をもって矢を射ることになるのです。

 

「アルティマCPX」サイトは、ノルトロックワッシャーを
取り付けて組み立てられる。