The Wind Turbine Time Machine

近年世界中で成長する風力発電産業では、部品点数を極力減らした大規模な風力タービン製造方法が模索されています。ドイツでは新たな建造技術の試験を行っており、限られた試験期間の中でタービン稼働開始後20年間で発生する摩耗や亀裂のシミュレーションを行っています。

成長を続ける風力エネルギー産業にもコスト削減の圧力が押し寄せており、集中的に試験検証を行うことが求められています。また、補助金に頼らない長期代替エネルギー源としての風力発電にテコ入れを行うためには、コスト削減のための一貫した研究開発も必要です。WTGと呼ばれる風力タービン発電機メーカー、風力発電所、サプライヤー、エネルギー事業者等を支援するため、ドイツ・フラウンホーファー風力エネルギー及びエネルギーシステム技術研究所(IWES)は、風力発電事業関連の広範な研究サービスや技術協力を商品として提供しています。「IWESは業界研究機関で、風力産業を専門にしています。」とビーベン(BeBen)XXLプロジェクト研究機構のハンス・キーリング氏は話してくれました。同プロジェクトでは、使用する材料を減らしても業務上の安全要件を満たすことができるかどうかを研究しています。

2012年から2017年にかけて、同プロジェクトはフラウンホーファーIWES、風力タービンメーカーのスズロン・エナジーGmbH(同プロジェクトの主催)、ハンブルグ応用科学大学(HAW)が協働して進めています。立ち上げはドイツ連邦経済エネルギー省です。ビーベン(BeBen)はドイツ語で、「試験用メインシャフトを使用した大規模風力タービンの耐久強度確認のための加速度試験」という意味です。キーリング氏は「軽量建築という言葉はいささか誇張され過ぎています」と語ります。「なぜなら、実際に重量を軽くして建築することではなく、従来よりも軽い材料を用いて建築することに重点を置いているからです。」

プロジェクトが成功すれば、すべての風力産業のOEMメーカーは恩恵を受けることができます。認証されたガイドラインが完成すれば、かかるコストの費用対効果は改善されるでしょう。なぜなら、風力タービン発電機の構成部品のサイズを徒に大きくする必要がなくなるからです。プロジェクトが目指す主要な目標に加え、高張力鋳鉄が高価な鍛造材料の代替品として適しているかの試験や検証も行われました。キーリング氏は「私たちは、いくつかのパラメータを変更することで、加速度使用寿命試験を行っています。具体的には、例えば通常環境で使用される風力タービン発電機よりも回転速度を上げて試験を行っています。そうしてメインシャフトにより重い回転子から、より大きな応力を与えます。」と話しています。

同プロジェクトが従来とは異なるもう1つの点は、いわゆるウェーラー曲線を作成して材料やコンポーネントの振動耐性を確認することです。自動車業界では通常、同プロジェクトで調査するコンポーネントよりもはるかに小さいコンポーネントで、振動耐性試験を行っています。コスト的な理由から、通常は航空業界でさえも相当に小さなコンポーネントで試験を行っています。風力タービン発電機のメインシャフトは巨大であるにもかかわらず、ボルト締結を行うための作業スペースは非常に限られています。そのため、据え付け作業やメンテナンス作業が難しくなり、危険作業を伴うことさえあります。

「私たちは試験を分割してできるような装置を製作しました」とキーリング氏。「建築物を基礎に固定し、上層部には試験材料を取り付けるのです。」

通常、基礎部分も上層部も共にスペースが非常に狭く、現場へのアクセスが非常に困難なため、いかに作業手順を減らすかが重要になります。手が届かないボルト締結箇所や、レンチ等の工具を操作するスペースがほとんどないのです。このような空間的制約に加え、キーリング氏は別の問題も強調しました。「ボルトの目標軸力は高く出すこと、またその軸力の低下を極力少なくする必要があります。」これらの問題を解決すべく採用されたのは、ノルトロックの製品でした。スーパーボルトはプロジェクトの安全に大きく貢献しています。それは単に限られたスペースでの作業を可能にしたからだけではなく、より軽い工具を使用することで安全面でも大きな改善が見られました。このような場所で油圧工具を使用することは、安全面で必ずしも最善とは言えないためです。

スーパーボルトは、試験材料と建築物上層部、建築物基礎部分と基礎の間で使用されています。同プロジェクトでは、28本のM56スーパーボルトと共に、8本のM80スーパーボルトが使用されています。大きい方のM80のボルトには2.8MN(メガニュートン)の力がかかりますが、スーパーボルトを使えば、そのような状況に対処することが可能です。

実際に使用されるパーツ以外にも、BeBen(ビーベン)XXLプロジェクトでは、ノルトロックの風力発電業界での経験が生かされています。ポジショニングはこの市場が成功するための鍵です。キーリング氏はこのように語っています。「コストの問題は常に付きまとって来ます。」ノルトロックのセールスエンジニア、トビアス・クランクは「我々は風力発電業界で十分に認められたサプライヤーとして、この業界が成長軌道に乗り続けていることに喜びを感じます。微風で回転する風力タービンの場合は特にそうです。今ある風を最大限に活用する。このような微風タービンに適した場所は、世界中の至る所にあります。」

さらに、キーリング氏は風力タービンの建設についてこのように語っています。「克服すべき課題はまだたくさんあります。」その1つは、ますます大きくなる回転翼です。ドライブトレインについては、鍛造ではなく鋳造シャフトを使って大規模化のコストを削減しているところです。ドライブトレインには共通したセオリーというものがないので、風力タービン発電機メーカーにとって、ベアリングは競争優位を保つための新たな課題となっています。

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Technical insights: あらゆる課題に対応する製品バリエーション

ノルトロックグループのプレミアムな製品は、風力エネルギー業界からの注目を一身に集めています。なぜならノルトロック製品は、風力タービン運用者の高い要求水準を満たす数少ない製品だからです。ノルトロック製品は、風力タービンのボルト締結部にかかる恐ろしいほどの圧力に屈することなく安定した締結を実現する完璧なソリューションです。また、事実上メンテナンスフリーの運転を行うことができます。

ノルトロックワッシャーは、摩擦に依存せず軸力そのものを利用するため、振動や変動荷重によるボルトの回転緩みを物理的に防止します。Xシリーズワッシャーは、従来のノルトロックワッシャー同様にウェッジロック技術で回転緩みを防止するだけでなく、なじみ・リラクゼーション・塑性変形等の非回転緩み(合いマークが動かない軸力損失)をも単一製品で同時に解決できる世界で唯一の製品です。特に高性能化が進む新しいタービンにおいては、大きなメリットが期待できます。

スーパーボルトは、風力タービンで世界的に用いられる製品です。従来型のナットやボルトをスーパーボルトにそのまま交換することができ、ボルト締結部の寿命を延ばすこともできる上、トルクレンチ等のハンドツールだけで締結が完了できます。しかし最大の特徴は「超」高精度な締結精度で、従来のトルク法と比較して1/3以下の驚異的な軸力精度で締結が行えます。また、設計想定通りの軸力が得られるため、振動等に晒されても緩みの懸念がありません。ギアボックス前後にあるドライブトレインやケーシング、ハウジングの固定で使用されるのが一般的です。

ボルタイトのボルトテンショナーは、従来のテンショナーが抱える「重過ぎる」「繰り返しの使用で油漏れがする」といった課題を自社開発パーツで克服した進化形テンショナーです。組立て・建造時、メンテナンス時のどちらの局面でも、すべての重要な締結箇所を確実で正確に締結することができます。用途としては、タワーフィールド、フレーム、ベアリング、基礎ボルト、ブレードの回転翼があり、風力タービン専用のテンショナーも幅広くラインナップされています。

エクスパンダー・システムは、風力タービンにおいてはブレードとローターのリンク部等にピンを採用しているモデルにおいて、経年と共にピン穴が摩耗してブレードがガタつき、発電効率低下や故障・事故リスクを招く問題を完全解決できるソリューションです。元来建機や重機の可動部に使用されるエクスパンダーは、ピン軸が太る形で拡張し、ピン穴内のクリアランスを埋めてしまうことでピンが僅かにも動かない状態を作り出すことで、ピン穴の摩耗を解決し、再発も許しません。

 

M80 SUPERBOLT

事例: BeBen社(ビーベン)XXLリサーチプロジェクト
顧客: フラウンホッファー風力エネルギー及びエネルギーシステム技術研究機関(IWES)
所在地: ブレーマーハーフェン(ドイツ)
プロジェクト: BeBen(ビーベン)XXLリサーチプロジェクト(2012年〜2017年)
目的: 大規模風力タービンシャフトの使用材料削減・変更の可否を判断
ノルトロック製品: M56・M80用スーパーボルト
実現したメリット:

  • 限られたスペースでの作業性
  • 軸力損失の防止
  • 巨大な負荷への耐久性
  • 軽量工具が使用可能

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