Boltight®テンショニングシステムが小型モジュール炉(SMR)の自動メンテナンスを支える
原子力発電は、大量の電力を安定して供給できる非常に効率的な発電方式です。一方で、従来の原子力発電所では、放射線環境下での保守や燃料交換を伴うため、メンテナンス作業は複雑で大きな負担となっていました。こうした課題を解決する新たな技術として注目されているのが、Small Modular Reactor(SMR)(小型モジュール炉)です。
SMRは、1基の大型原子炉ではなく複数の小型原子炉を組み合わせる設計を採用しており、資源をより効率的に活用できるだけでなく、メンテナンスや燃料交換作業の効率化にも貢献します。しかし、原子力発電所では、炉型を問わず原子力発電所の運用・保守には、高度で複雑な作業が伴います。設備停止によるコストの増加だけでなく、作業者の安全確保も重要な課題です。
こうした中、SMRのリーディングカンパニーであるNuScale Power(ニュースケール・パワー)は、設重要設備の停止時間を最小限に抑えるため、将来を見据えた自動メンテナンスシステムの開発に着手しました。その重要な役割を担ったのが、ノルトロックグループのBoltight®(ボルタイト)テンショニングソリューションです。
「約20年前、NuScaleは新しい原子炉である小型モジュール炉(SMR)の構想を掲げました。そして2020年には、米国原子力規制委員会(NRC)から世界で初めてSMRの設計認証を取得し、新たな歴史を築きました。」
NuScale Power 最高技術責任者(CTO)兼共同創業者 José Reyes博士
最適なテンショナーとして選ばれたBoltight
NuScale Powerがメンテナンス作業の自動化を目指した最大の目的は、原子力発電所の運用において最も重要な工程の一つである燃料交換作業の効率化でした。従来は、原子炉圧力容器が水深約60フィートに設置されていたため、燃料交換時に逆向きに配置されたナットへアクセスし、締付け・取外し作業を行うことは容易ではありませんでした。
ノルトロックグループ Tensioning事業部のコンサルタントであり、自動メンテナンスツールの開発に携わったPatrick Abernethy氏は次のように語っています。「従来は3~4名の作業者が、ポーラークレーンに接続した油圧工具を使用しながら、テンショナーを原子炉容器の上部へ移動させて作業を行っていました。この方法は複雑で時間がかかるだけでなく、人が直接作業を行う必要があるため、放射線環境下では決して理想的とは言えませんでした。」
プロジェクトの入札では、ボルタイトは油圧ボルトテンショニングソリューションがプロジェクトの技術要件を満たすことを提案書で示しました。その高い技術力と豊富な実績が評価され、NuScale Powerは自動メンテナンスツールに最適なテンショニングソリューションとしてボルタイトを採用しました。
Patrick Abernethy氏は次のように述べています。
「NuScaleに採用された後、テンショナーの信頼性を実証するため、一連の受入試験を実施しました。その結果、ボルタイトのテンショニングシステムは期待どおりの性能を発揮し、非常に優れた成果を収めることができました。」
油圧ボルトテンショニングと自動化技術の融合
開発初期段階でボルタイトのテンショニングシステムが採用された後、自動化システムを完成させるため、新たなパートナーが加わりました。別途実施された入札の結果、ATS Industrial Automation(ATS)(ATSインダストリアル・オートメーション)が採用され、自動ロボットシステムの開発を担当しました。これにより、自動メンテナンスツールModular Assembly Equipment Tooling(MAEB)(モジュラー・アセンブリ・エクイップメント・ツーリング)が完成しました。
Patrick Abernethy氏は次のように語ります。「ATSは非常に優れたパートナーでした。お互いの役割を明確にしたことで、プロジェクトは非常にスムーズに進みました。」
現在のMAEBは完全自動ではなく、オペレーターがカメラ映像を確認しながら原子炉圧力容器内で操作を行います。それでも、SMRにおける燃料交換やメンテナンス作業の効率化という点では、従来方式と比較して大きな前進を実現しました。
実際の運用環境を考慮した設計
ATSが開発した自動化システムと連携するため、ボルタイトのエンジニアリングチームは、実際の運転環境で発生し得るさまざまな課題に対応する必要がありました。例えば、位置ずれによってテンショナーがナットに正しく装着できない場合でも対応できるよう、一定の位置ずれを吸収できる構造を採用しました。また、テンショナーが何らかの理由で動作中に固着した場合でも、安全に対応できるよう、設計面・機能面の両方から検討を重ねました。
このような検討からも分かるように、前例のほとんどない原子炉向け自動メンテナンスツールの開発には、実用性を重視した実用性を重視した革新的なエンジニアリングアプローチと革新的なエンジニアリングが不可欠でした。
Patrick Abernethy氏は最後に次のように述べています。「私たちは、まったくゼロから、このような環境で機能するテンショナーを設計しました。この自動メンテナンスツールとテンショニングソリューションは、非常に優れたエンジニアリング成果となりました。今後のさらなる発展をとても楽しみにしています。」