歴史的建築物のガラス屋根を支えるNORD-LOCK® Xシリーズワッシャー
歴史的建築物を現代の用途に合わせて改修するには、その文化的・建築的価値を守りながら、新たに導入する構造物の安全性と信頼性を確保しなければなりません。
スウェーデン南部の都市マルメにある歴史的建築物「Malmö Börshus」では、建物中央の中庭を明るく開放的なアトリウムへと生まれ変わらせるため、先進的なガラス屋根が導入されました。
そのボルト締結部に採用されたのが、回転緩みと非回転緩みの両方を防止するノルトロック Xシリーズワッシャーです。

Malmö Börshusは、マルメ中央駅に隣接する歴史的建築物です。砂岩のファサードと連続する大きな窓が、伝統とモダンの調和を印象づけています。
1879年の開館以来、19世紀から21世紀と時代を超えて、マルメを象徴する建築物として親しまれてきました。現在は、オフィス、会議室、レストラン、イベントスペースなどを備えた複合施設として利用されています。
2023年に始まった大規模改修では、建物の文化的・建築的な特徴との調和を保ちながら、現代の多様な用途に対応できる柔軟な機能を持たせることが重視されました。改修を終えた建物は、2026年の始めにリニューアルオープンしました。
このプロジェクトを象徴するのが、建物中央の中庭を覆う新しいスカイライトルーフです。
スカイライトルーフには、ドイツの建材メーカーSchücoが開発した「Grid2Shell」が採用され、歴史的建築物の特徴を損なうことなく、中庭に自然光を取り込むガラス屋根を実現しました。
2025年夏に屋根の設置工事を撮影した動画の中で、Schücoのシニアマネジャーであるピーター・シュトックブリュッガー氏は、Grid2Shellをスカイライトとして採用した初のプロジェクトであることを語っています。
「この建築と構造は、私たちにとってとても魅力的なものです。古い建物に新たな命を吹き込むプロジェクトへの参加は、とても素晴らしいことです。」とシュトックブリュッガー氏は言います。

ノルトロックのXシリーズワッシャーは、Malmö BörshusのGrid2Shellスカイライトルーフの一部として採用されているだけでなく、プロジェクト実現に至るまでのストーリーにも深く関わっています。
“彼らは非常に柔軟な姿勢で、既存のソリューションの改善に取り組みました”
ドイツのビーレフェルトに本社を置くSchücoは1951年に創業、窓やドア、ファサードなど、さまざまな建築部材を製造しています。同社の製品は世界各地で使用されており、特にヨーロッパの建築業界では、窓分野を代表する有力ブランドの一つとして知られています。
Grid2Shellは、Schücoの新製品の一つです。アルミニウム製フレームとガラスを組み合わせたモジュール型の建築システムで、多角形または三角形のユニットを組み合わせることで、荷重支持用の下部構造を必要とせず、自由な形状の屋根や外装構造を構築できます。
しかし、Schücoのエンジニアたちは、この特殊な屋根構造を安全に支えるためには、ボルト締結部に関する技術的な課題を解決する必要性を感じていました。


ノルトロックの建築・インフラ部門のグローバル・ビジネスディベロプメントマネジャーであるフランク・ゲッツは、次のように説明しています。
「Grid2Shellでは、ステンレス鋼製ボルトを使用して、アルミニウム製のプロファイルと接続ノードを締結しますが、彼らは振動やGrid2Shell構造の動的な動きによる影響に懸念を示していました。」
ステンレス鋼とアルミニウムでは、温度変化に伴う膨張・収縮の度合いが異なります。また、屋根構造には、振動や荷重変動による変位が生じる可能性もあります。
「特に、わずか10~20℃程度の温度変化でも、材料特性の違いによって各部材の挙動に差が生じ、その結果、わずかな隙間やたわみが生じることがある点が課題として挙げられました。」
2023年に、Schücoはある業界イベントでゲッツと接点を持ち、Grid2Shellのボルト締結部品の一部をノルトロック製品に置き換える可能性について検討を開始しました。
その有力な選択肢となったのが、ノルトロックXシリーズワッシャーでした。
採用にあたっては、既存部品を単純に置き換えるのではなく、用途に適したサイズと材料仕様を確認するため、詳細に検証されました。最適なサイズと材質仕様を特定し、その適合性を確認するため、試験、解析、設計レビューを重ねながら、Schücoとノルトロックの両社は、1年半以上にわたって協力。その結果を踏まえてXシリーズワッシャーの採用を決定しました。

「彼らは非常に柔軟な姿勢で、既存のソリューションの改善に取り組みました。」
ノルトロックXシリーズワッシャーを採用した新しいGrid2Shellシステムは、ミュンヘンで開催された建築見本市「BAU」で初披露され、その後、Malmö Börshusの改修プロジェクトに導入されました。
建築分野に最適な二つの機能を備えた設計
ノルトロック Xシリーズワッシャーは、ノルトロック独自のウェッジロック技術と皿ばね形状を一つの製品に組み合わせています。ウェッジロック技術によって、振動や荷重変動による回転緩みを防止します。また、円すい形状がばねのように作用して締結軸力を維持し、初期なじみやリラクゼーションなどによる非回転緩みを防止します。
こうした二つの機能を兼ね備えていることから、Xシリーズワッシャーは、Grid2Shellのような建築・建設分野の用途に適しています。
シュトックブリュッガー氏は、鋼とアルミニウムの熱膨張差に起因する締結部の変位に追従し、軸力低下を抑制できる点を、ノルトロック Xシリーズワッシャーの採用理由として挙げています。Xシリーズワッシャーは、熱サイクル、塗装やコーティングのなじみ、軟質金属や複合材のリラクゼーション、短い締結長さ、ガスケットを含む締結部など、回転緩みと非回転緩みの両方が課題となる用途に適しています。
ノルトロックXシリーズワッシャーは2012年から販売されていますが、建築・建設分野での採用が本格的に広がり始めたのは最近のことです。その理由の一つが、2025年にXシリーズワッシャーがCEマークの認証要件を満たし、EUの建築用途に関する厳格な基準に適合したことです。
CEマーキングを取得したノルトロックXシリーズワッシャーを採用した初期の建築プロジェクトの一つが、Malmö Börshusの改修におけるGrid2Shellのスカイライトルーフでした。ゲッツは、これは重要な意味を持つと言います。
「CEマークは、ノルトロックXシリーズワッシャーが、締結部品として有効性と信頼性が実証され、関連基準に適合していることを証明するものです。そして、Xシリーズワッシャーの採用は、構造物の安全性と信頼性をさらに高める要素となりました。」
NORD-LOCK® Xシリーズワッシャーについて
ノルトロック Xシリーズワッシャーは、ウェッジロック技術と皿ばね形状を組み合わせ、回転緩みに加え、初期なじみ、リラクゼーション、温度変化などに起因する非回転緩みも防止します。
製品サイズ、材質、使用温度、締付けトルク、適用条件については、NORD-LOCK® Xシリーズワッシャーの製品詳細およびユーザーガイドをご確認ください。












