Hydraulic Tensioning Tool For Nuclear Reactor Pressure Vessel

韓国の斗山重工業は、原子力発電所内の原子炉圧力容器のスタッドボルトを締結するボルトテンショナーを求めていた。だが、そこには頭を悩ませる数多くの難題があったのだ。

ノルトロックグループの一員であるボルタイトは、軽く高耐久で柔軟・迅速なカスタマイズで狭所にも適用できる「進化形」油圧式ボルトテンショナーを供給している。ある日、ボルタイトは原子炉圧力容器頭部を締結するスタッドに適用するというテンショナーの問合せを受けた。しかし圧力容器頭部の限界面圧は低く、尚且つ求められる軸力は非常に高い。極めて幅の狭い軸力レンジに初期軸力・残存軸力を共に納めなければならない、難度の高い問合せだった。

その締結部に必要な軸力は14,500kNと非常に高く、作業スペースは一般的なテンショナーでは取付自体ができないほど縦にも横にも狭い。

ボルタイトは要件を満たすため、非常にコンパクトでありながら高い軸力が得られるテンショナーを設計。しかしボルタイトの製品設計を担当するエンジニアは現場での作業をイメージし、締結後の油圧解放時にピストンが自動的に元の状態に戻るリトラクション機能が必要になると悟り、設計に組み込んだ。狭いスペースで体を折り畳んでの長時間作業を避けるため、少しでも作業時間を短縮するという配慮だ。

また、圧力容器稼働時に締結部に加わる力を解析し、フランジが回転した時に発生する曲げ応力を分散できるようピストンには丸ナットを組み込めるよう設計し、締結部に加わる力に対処した。また、このテンショナーには、オーバープレッシャーを避けるための圧力開放バルブの他、ナットの位置ずれによるピストン部の損傷を防ぐための中空式ギアボックス等、作業者の安全確保とテンショナー自体の保護のため、様々な機能が付加されていた。

果たしてこのスペシャルテンショナーは、実際に多くのメリットをもたらした。中空式ギアボックスはナットの据わりに関係なく確実にフィットし、一般的なテンショナーの重く高価なソケットよりも遥かに作業性に優れていたばかりか、確実にナットを回転させることができた。また、テンショナーボディは脚であるブリッジ部と分割されているため、ボディのみを回してスタッドをプルラーに挿し入れられる。そのためスタッドにテンショナーを取り付ける際に、ブリッジ分の重量を持ち上げずに済むのだ。斗山が以前使っていたテンショナーには無いメリットだった。ボルトを引き伸ばした時に傾きを劇的に低減する構成も、確実な締結と安全確保の上で非常に優れた点と言えるだろう。

果たして斗山重工業は、本プロジェクトでこのテンショナーを大いに活用した。ボルタイトは数多くの難題を乗り越え、厳しい制約条件下で極大の軸力を正確に生み出すテンショナーを短期間で設計・製造し、同社に提供した。では、なぜそんなことが可能だったのか?幾本もの大径ボルトを高軸力で確実に締結する。それがテンショナー、いやボルタイトの使命だからだ。

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