The holy grail of jackbolt tensioning

スーパーボルトは1984年以来、作業効率改善を常に重ねて来た。そこで必ず、ある壁に行き当たる。「全てのジャックボルトを一度に締め付けることはできないか」というものだ。

全てのジャックボルトを同時に、正確かつ均一なトルクで締め付ける。これは、技術的にもコスト的にもほぼ実現不可能だと考えられていた。だが、あるオーストラリアのエンジニアは図らずもその解決策に辿り着き、機械式ボルトテンショニングの歴史を変える技術を確立した。

2014年のある日、アンディ・マクフィは友人と2人で後の共同開発者となるピーター・アームストロングの自宅を訪れた。アームストロングは台所のテーブルで猫背になりながら、従来の油圧トルクレンチに取って代わる、継続動作ができる機械工具の設計に没頭していた。アームストロングの肩越しにその設計図を見ていたマクフィは、いつものように様々なアイデアが頭に浮かび、アームストロングに2、3の提案をしてやった。ところがアームストロングはCADが使えないのでマクフィの提案を形にすることができないと言う。マクフィの出番が来たわけだ。

「僕は以前、会社を経営していてね。そこでは世の中に理解してもらえない、ブッ飛んだ発明を世に送り出す手伝いをしていたんだ。」マクフィは言う。「僕らはすごいアイデアを持った人たちが発明したものを世に送り出すのを手伝って、僕自身もいろんなものをたくさん開発した。今までに無かったモノを作り、それが生活の一部になっているのを見ると、心の底から喜びを感じるんだ。」

そのアイデアはまさにスーパーボルトが熱望していたもので、ほどなくして外部からの大きな興味を惹き付けた。2015年1月、2人は投資家から資金を募るため、駆動技術の開発を終えようとしていたが、ノルトロックグループに籍を置く古い友人がちょうど電話を寄越したのだ。2人はこの技術を見てもらおうと彼を作業場に招いた。

この技術は、全てのジャックボルトを必要トルクで同時かつ均一に締め付けるということを可能にする小型のドライブ技術で、まさにノルトロックグループが待ち望んでいた技術だったのだが、当時の2人はそんなことを知る由もなかった。コンセプトモデルとして発表された当時は、2人が「スクロールドライブテクノロジー」と呼ぶその駆動技術によって全ジャックボルトの同時締結がいかにして実現できるのか、その製品機構がお披露目された。間もなくマクフィとアームストロングは、ノルトロックグループのスーパーボルトツール開発に正式に着手することとなる。

幾多の困難を乗り越えて

マクフィとアームストロングによるスーパーボルトツールの開発は軌道に乗ってはいたものの、問題は山積していた。実現不可能かも知れないものなのだ。それを作ろうとしている以上、無理もない。ノルトロックグループのテンショニング部門ダイレクターであるスティーブ・グリンウェルはこのツール開発の難しさをこう説明する。

「全てのジャックボルトを同時に締め付ける技術を誰かが生み出すことができたとしたら、それはそっくり聖杯伝説※の再現のようなことです。数多くのジャックボルトに同時に均一なトルクを伝達する技術だけでも難しい上、更に必要なトルクが大きく、それを生み出すパワーの出力も非常に難しい問題なのです。」(※訳注:聖杯伝説とは、中世より西欧を中心に伝わる寓話。病に倒れた王を治癒するためにはキリストが最後の晩餐に使用した聖杯に正しい問いを行わねばならないが、それに挑んだ騎士は失敗してしまう。最終的に騎士は幾多の苦難を乗り越えて正しい問いを悟り、聖杯に問うことで王を回復させた。)

スーパーボルトツールの開発過程でマクフィとアームストロングが直面したの最大の問題は、彼らが開発した「スクロールドライブ(※現在はユニ・フォースと改称)」が必要トルクを確実に全てのジャックボルトに伝達できるよう最適化することだった。この技術は、歯の部分に球を組み込んだボールギアとねじ歯車(ウォームギア)を使うことで実現したのだが、マクフィとアームストロングは1条ではなく、数条のウォームを設けることで、より大きな駆動力を得ることとした。             

ウォームのねじ山を何条にするのがベストなのかを計算するのに、ものすごく時間がかかったよ。ウォームが回転すると、ギアに仕込まれたボールがウォームのねじ部と噛み合う形になるんだけど、ボールは球状だから常に接触点での径が変わってしまうんだ。(アンディ・マクフィ)              

マクフィとアームストロングは、もう1つ別の難題を抱えていた。スーパーボルトのジャックボルトは、あるものは比較的浅く、また別のものはより深くという具合に、まちまちにナットボディに挿し入れられている。全てのジャックボルトが同じ開始位置に整列されていないと、いずれか1本のジャックボルトが締まった途端、未完了の他のジャックボルトを締め付ける動きも止まってしまうのだ。2人はこれを解決するベストな方法を模索していた。

この問題を解決したのは、シンプルなバッテリー式の電動ドリルで動作する素晴らしいラチェットドライブのカセットだった。このカセットのおかげでスーパーボルトツールでの締結を行うことが可能になったが、「改善点は他にもまだある」とマクフィは言う。 「でも、その改善点すべてがお客へのサービスにつながるもので、僕はそのために最善を尽くす。それだけの話さ。」と付け加えた。

実際にそれを使う人のことを第一に

確かに、開発プロセスの中核に据えられるべきは、それを使うことになる顧客だ。そしてそれがマクフィの哲学でもある。「 僕はインダストリアルデザインを勉強して来たから、どうしてもエンジニアリングに軸足を置いてしまう。でも、人間として物事の側面を見ることも不可欠だ。」と彼は言う。「僕自身がそれにどんな機能を持たせるべきかを考えるということも、すごく重要だと思ってるんだ。」マクフィは、スーパーボルトツールに求められる機能を、迅速、簡単に作業でき、そして扱いやすいものであるべきと定義した。―結果、それらは見事に実現されたのだ。

スーパーボルトツールは、ただ素晴らしいの一言でした。スーパーボルトを数多く使われているお客様や、メンテナンスを頻繁に行う現場は、スーパーボルトツールを使うことで劇的に作業時間を短縮することができます。(スティーブ・グリンウェル)

スーパーボルトツールはまだリリースされたばかりだ。しかしマクフィは既にこの先の開発計画を練り始めている。

「スーパーボルトツールはまだまだ進化して行くさ。この先も、新しいスーパーボルトツールを開発して役立ててもらえる領域はたくさんある。そう考えると本当に楽しみだ。そのうち宇宙ステーションなんかでも使えるようになるかも知れない。コイツがどれだけの可能性を秘めているかなんて、誰にも分からないだろ?」マクフィはそう言って笑った。

 

───────────────────────────────────────────────

氏名:アンディ・マクフィ
肩書:ノルトロックグループ R&Dエンジニア
年齢: 49歳
学歴:クイーンズランド工科大学 工業デザイン学部にて応用科学大学院卒の学位を取得
職歴:自動車設計、ホバークラフト製造、灌漑、ソフトウェアデザイン
趣味:問題を解決して人々の生活をより良くすること
これまでの発明:エアー注入式テント、カーボンファイバー製の自転車、太陽光発電式のポータブル照明、自転車用バックミラー

How does the Superbolt Tool work?

The key principle behind the Superbolt Tool is powered by UniForce Technology – invented by Nord-Lock Group. The patented technology consists of a unique scroll and ball drive mechanism for uniform and high transfer of torque. In operation, effective torque amplification is achieved in a very compact design – with input torque kept to a minimum. Tailored cassettes, which attach to the main drive unit, are used to transfer the necessary torque equally to each of the Superbolt tensioner jackbolts.

お客様採用事例