BOLTED

完璧なボルト締結を目指す

【BoltingTIPS】ボルト・ナットの強度区分とその組合せ

15 5月 2018
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テキスト: 岡田 圭佑  文章監修:梁 完、竹中 正人

写真: ノルトロックジャパン

強度区分を意識することはありますか?

ボルトには強度に応じたグレード(強度区分)がISO 898-1:1999において国際標準として定められて

おり、日本でもJIS B 1051:2000において上記ISO規格に対応しています。今回のコラムで本トピック

を取り上げた理由はいくつかあるのですが、その1つはボルトの強度区分における日本と諸外国の

違いが挙げられます。これはご存知の方も多いかと思いますが、日本では強度区分4.8のボルトが

圧倒的に主流であるのに対し、欧米や中国を含む他国では強度区分8.8が主流です。

では具体的に、この強度区分の違いによってどのような違いが生まれるのでしょうか?また、海外

向けに製品を輸出されるメーカー様ではどのような点に留意すべきか?逆に海外メーカーの生産設備

を国内の工場に設置している場合等、メンテナンスでどのような点に注意が必要か?ボルトの強度

区分は普段どのように意識すべきか?そうした疑問を明らかにして行きたいと思います!まずは各

強度区分とその意味するところをざっと確認して行きましょう。

 

ボルトの強度区分

ボルトの強度区分を定めたJIS B 1051:2000では、10種類の強度区分が標準化されており、中でも

流通しているものは4.8、8.8、10.9、12.9の4種が殆どです。

六角ボルトの強度区分はボルト頭に刻印されていることが多く、そのボルトを見れば強度区分は

簡単に判別できるケースも多くあります。基礎知識のおさらいですが、ボルトの強度区分の意味する

ところは、例えば国内で主流の強度区分4.8のボルトなら、小数点前の「4」は引張強さが

400N/mm²であることを示しており、小数点以下の「8」は降伏点が引張強さ(前述の通り4.8

なら400N/mm²)の8割であることを示しています。つまり強度区分4.8ボルトの降伏点は320

N/mm²ということになります。

また、六角穴付ボルト(キャップボルト)は一般的に強度区分8.8以上となり、国内では10.9や12.9

のものが主流になっています。ソケットやスパナで外側から力を加えて締め込む六角ボルトと違い、

六角穴に挿し込んで内側から力を加えて締め付けるため、穴がなめてしまわないように強化されて

いるんですね。

つまりボルトの強度区分とは、読んで字の如くボルトの強度をクラス分けして規格化したもので、

そのボルトにどの程度の力を加えても機能するか(降伏や破断を起こすことなく締結できるか)を

定めたものです。ではボルトの強度区分は何によって変わるのでしょうか?ボルトの材料?当然そう

ですね。他にも熱処理や加工方法によってもボルトの強度は変わります。一般論ですが、主な強度

区分別の材料を見てみましょう。

 

  • 4.8   :SS400相当鋼等の普通鋼、炭素鋼、SWRCH材等の冷間圧造用炭素鋼 etc
  • 8.8   :S45Cや調質済の炭素鋼、合金鋼(合金元素を添加して強化された鋼材) etc
  • 10.9 :SCM435、SCM440(クロムモリブデン鋼)等の合金鋼
  • 12.9 :SCM435等の合金鋼

 

よく見てみると、強度区分8.8と10.9の間で何となく材料の系統が分かれていますよね。8.8までは

普通鋼や炭素鋼が使われていますが、10.9以上になると炭素鋼はあまり使用されず、焼き入れ性の

良い合金鋼から作られることが多くなります。実はノルトロックワッシャーの材料もこの合金鋼の

一種で、かつ炭素含有量が比較的低いため浸炭焼入れによって表面硬度を向上させ、12.9の高強度

ボルトにもグリップできるように作られています。非合金の炭素鋼ではノルトロックワッシャーの

ウェッジロック効果が十分には発揮されず、使用環境によってはロック機能が働かないというリスク

が生じてしまうためです。

また、旧JIS規格では引張強さの1/100の数字にTを付けた強度区分が4T、7T、11T等という形で表記

されており、現在でも旧JISの強度区分の方が馴染みがあるという方もおられますね。

 

ここでも日本はガラパゴス?

強度区分4.8の鋼製ボルトが主流である国は、実は日本だけなのはご存知でしたか?欧米でも同じ

アジアの中国や韓国でも、鋼製ボルトの主流は8.8です。もちろん国内外問わず強度区分を指定して

購入すれば入手は可能ですが、逆に海外では4.8のボルトが入手できない国もあります。

ここで問題になるのは海外との製品のやり取りで、機械を海外に輸出されるメーカー様は4.8の

ボルトを使われていると海外では入手不可な国も多いため、メンテナンス時に8.8のボルトに交換

されてしまう可能性があります。最初から8.8のボルトで設計しておけば4.8よりも高軸力で締結が

できるため、ボルト本数を減らしたり、それによって軽量化が図れたかも知れません。規格を

設けて4.8のボルトの使用を強制する場合は現地での入手性を事前に確認することをご推奨いたし

ます。また、逆に海外製品を輸入して使用する場合はもう少し深刻なケースが起こり得ます。

ボルトが8.8以上のものが付いていれば、4.8では発揮できない軸力で締結する設計になっている

可能性があります。海外との強度区分の違いを知っていれば良いのですが、何も知らないままメンテ

ナンスで4.8のボルトに交換して海外から指定されたトルクで締め付けた場合、ボルトが降伏したり

破断したりするリスクがあります。破断すれば少なくとも締付時に不具合を認識できますが、単に

軸力不足の状態で作業が完了されていたりすると最悪の場合、軸力不足に起因する事故に繋がる

恐れもあります。

 

ステンレス製ボルトの強度区分

SUS製ボルトの強度区分は、鋼製ボルトとは全く違います。国内で主流のステンレス鋼はSUS304

ですが、SUS304から作られるSUS製ボルトの強度区分はA2-50という強度区分となります。

また、ステンレス製ボルトも鉄製と同じく六角ボルトよりもキャップボルトの方が強度区分が高く

なります。六角ボルトではA2-50(引張強さ500N/mm²)が最も主流ですが、キャップボルト

ではA2-70(引張強さ700N/mm²)が最も主流になります。鉄製と同じく、「ボルト頭部の

形状が六角かキャップかによって強度区分が違っている可能性が高い」ということは覚えておいて

ください。

 

ナットの強度区分

実はあまり知られておらず、またボルトと違ってナット本体にもマーキングされていないものが

多いのですが、ナットにも強度区分が存在します。JIS B 1052-2では、ナット本体の高さが

「呼び径×0.8(0.8d)」以上のもの(いわゆる1種、2種、そして10割ナット)には4、5、6、

8、9、10、12と7段階に渡って強度区分が定められています。

 

 

JIS B 1052-2では各強度区分ごとに組み合わせるボルトの強度区分と呼び径範囲が定められ

ており、また強度区分ごとに保証荷重応力が定められています。保証荷重とはその引張荷重を

15秒間加えてもナットのねじ山がせん断破壊したりナットが破断しないと保証される値で、この試験

方法もJIS B 1052-2にて規定されています。

 

 

JIS推奨外の組み合わせで使用した時

JIS B 1052-2で定められたナットの最大強度区分は12ですが、上図を参照するとこの場合に

組み合わせるボルトは強度区分12.9、呼び径はM39までということになります。これがナット

強度区分8になっても組み合わせるボルト呼び径はM39まで、逆に4.8と組み合わせる強度区分4

のナットはM16より大きなものと規定されています。でも、ちょっと待ってください。この表では

M40を超える大径ボルトには強度区分4以外のナットは使えないように読み取れます。M40以上

のボルトには強度区分4以外のナットは使うべきでないということでしょうか?

JIS B 1052-2ではこの点にもしっかり言及されています。現在JIS B 1181で定められている

ナット規格ではM40以上になると最小ナット高さがナット呼び径の0.8倍(0.8d)未満になって

しまいます。JIS B 1052-2では0.8d以上のナット高さを持つナットにしか強度区分が規格化されて

おらず、ナットの強度区分策定の基となる設計理論に適合しないため、M40以上ではナットの強度

区分が規定されていないのです。そのため、JIS B 1052-2には「機械的性質は受渡当事者間の協定に

よる」と記載されています。つまり、JIS規格として規定するのではなく使用者に委ねられている

状態です。じゃあどうすれば?という場合には、「ナット強度をボルト強度より強くする」という

基本を守り、「ナットの呼び高さを高くする」ことでナットの破断を防ぐことができます。締結体

設計ではおねじの方がめねじより先に破断するよう設計するという前提がありますが、ナット高さは

見過ごされがちです。ここに一つ、私たちの社内試験で起こった実例を挙げておきましょう。

 

そのお客様は、いわゆる立て込みという形で機器側にめねじが切られており、ボルトで締結する形

でした。実機と同じ普通鋼のSS400のナットを準備し、こちらも設計上規定されていた強度

区分12.9のボルトを使って締め付け、ユンカー振動試験で緩み耐性の検証を行ったところ、

締め付け中に不自然に軸力が低下したため試験を中止して確認したところ、ナットの第1ねじ山が

破断していました。これをナット高さを呼び径以上の高いナットに交換して(嵌め合い長さを長く

して)再度試験を行ったところ、ナットの破断は起こりませんでした。

勿論この内容が全てのケースにそのまま適合できるわけではありませんが、ナット強度と同様に

ナット高さ(=嵌め合い長さ)もねじ部が破断しない安全・確実な締結体設計には重要だとお分かり

いただけるかと思います。

 

設備機器側にめねじを設計する時の注意点は

特に近年では、様々な理由からボルト-ナットの締結ではなく、いわゆる立て込みでのボルト締結が

増えていますね。メーカー様の製品(設備機器側)にめねじを切ることになるわけですが、今までの

お話を踏まえて締結部設計の際にはどんなことに留意すべきでしょうか?

上述の弊社内試験での事例からも分かる通り、機器側の材料がボルト強度よりも低い場合は嵌め合い

長さを長く取ることで対策が行えます。それが難しい場合は機器側の材料に合うようボルトの強度

区分を落とし、必要軸力が強度を落としたボルトでも発揮できるのか確認が必要です。軸力が不足

している場合はボルト本数を増やして対処することができます。この変更を行う前に締付トルクを

算出していた場合は、強度区分の変更に伴って締付トルクも変更が必要になるためご注意ください。

ところが実際の設計では、他にも様々な要因を考慮する必要がありますね。例えばボルト径が大きく

なって来ると、めねじ側の第1、第2ねじ山への応力集中によるボルト折損リスクは主要な課題の一つ

になり得ます。この応力集中は厄介で、極めて多様な要素を漏らさず考慮する必要があります。

M16以上のナット締めが行える締結部であれば、こちらのページでお客様からもフィードバックを

いただいている通り、スーパーボルトのナット型テンショナーであれば、その特許構造により

各ねじ山へ応力を均一に分散できるため、この応力集中によるボルト折損リスクを解決できます。

近年では軽量化等の目的でボルト締めの締結体設計が増えていると感じます。高強度ボルトがより

一般的になってきた理由にも、ボルト1本当たりの軸力を向上させることでボルト本数を減らす

という意図があるかと思います。高強度ボルトを採用する際にも立て込みのボルト締めを採用する

際にも、従来の締結体設計と同様にナットや機器側(めねじ・被締結材)の強度にも注意し、ボルト

のみでなく締結体全体として評価することが重要になって来ます。ノルトロックジャパンでは、

ドイツ技術者協会が策定したVDI 2230に則ったボルト締結体の安全性評価計算等、お客様の

設計を最適化するテクニカルサポートも行っています。ボルト締結に関してお困りのことがあれば、

ノルトロックジャパンのテクニカルサポートを是非ご活用ください。

 

 

ノルトロックへのご相談は
ボルト締結に関するご相談・ご質問がありましたら、いつでも下記までお問合せください。ノルトロックのエキスパートがお客様の課題を解決するお手伝いをいたします。
お問合せ✉:nlj@nord-lock-jp.com

 

 

文章監修:梁 完
ノルトロックジャパン エンジニアリングマネージャー

現場を訪問しての丁寧なフィールドサポート等、お客様本位の徹底したプロフェッショナリズムで業界を問わずお客様から高い評価と信頼を得る。広い視野で様々な観点から課題を冷静に分析する能力と、ノルトロック製品のカズタマイズ設計技能も持ち合わせるスペシャリスト。

 

文章監修:竹中 正人
ノルトロックジャパン アプリケーション・エンジニア

特に材料への造詣が深く、困難な締結課題にも臆せず立ち向かう探求心で多くのお客様より信頼を得る。超音波による軸力測定、油圧テンショニングにも精通し、VDI 2230の研究にも余念がない。日本ねじ研究協会における研究委員会のメンバーでもある。

 

 


 

 

quizz

BOLTEDクイズ(BOLTEDジャーナル #.027)解答

今回のクイズはBoltingTIPSに関連して、ボルト締結体設計の考え方からです!

 

Q:ボルト締結体の設計では、あってはならないことではあるものの、ボルトやナット等の締結部材が破断した時のことを想定します。おねじ側とめねじ側の設計に関わる「破断」の基本的な考え方について、正しいものは次のうちどれでしょうか?

 

A:下の選択肢から間違った説明を選んでくださいね。

① おねじ側とめねじ側では、おねじが先に破断するよう設計する
② おねじ側とめねじ側では、めねじが先に破断するよう設計する
③ おねじとめねじが同時に破断するよう設計する

今回のクイズは、ちょっと簡単だったかな?

 

 

 

答え:1

 

 

これは「おねじ」側が先に破断するよう設計するのが基本ですね。この理由は、もし「めねじ」側が

先に破断してしまうとより致命的な結果になりかねないという点もありますが、仮に高強度ボルト

を使用した場合を想像してみると、高強度ボルトの機能(軸力)をフルに活用する前にめねじが

破断してしまったら、高強度ボルトを使う意味がなくなってしまいますよね。また、ボルトが先に

破断すれば、ボルトの耐力から破断の原因となった外力がどの程度の荷重だったのかも予測が立て

やすくなります。そういった理由で「おねじが先に破断するように設計する」が正解ですね。

 

では、また次回のクイズでお会いしましょう!

/FIKA

【特集】ボルトができるまで

ボルトは数ある機械部品や建築資材の中でも最も基本的なものだ。身近であるが故、その生産工程に如何に複雑で高度な最新技術が取り入れられているのかを知る人は少ない。本誌読者の皆様には、生の材料から高品質で精緻なボルトがどのように生み出されるのかをこの機会に是非、知っていただきたい。

THE MAKING OF BOLTS

※本記事は、Boltedマガジン2018年第1号に掲載されたものです

 

ボ ルトには実に多くのサイズと種類があり、その形状も様々であるものの、その生産工程は概ね

共通している。コイル状の鉄線からスタートし、冷間鍛造による成形、硬度調整のための熱処理、

目的に応じた表面処理を施された後に箱詰めされ、出荷されるというステップを踏むのが一般的だ。

特殊なボルトを製造する場合は、更にこの上に必要に応じた工程が上乗せされて行く。

スウェーデン最大手ボルトメーカーの一角であるバルトン社はやはり、その生産工程を含めて

あらゆる面でボルト作りの深い知見を有している。「当社ではカタログ品と呼ばれる流れ品は作って

いません。お客様側のスペックに合わせたカスタム品だけを設計・製造しています。」

スウェーデン、ハルスタハンマーにあるバルトン社の製造工場でテクニカルマネージャーを務める

ヘンリク・オスカーソン氏にお話を伺った。「その締結部に最適なボルトを作るためには、その

ボルトがどこに使われるのかによって無数の選択肢から最適な製造方法をチョイスすべきだと当社は

考えています。」

 

コイル状になった鋼の鉄線を伸ばして必要な長さでカットした後、冷間鍛造で加工するという工程

から、ボルト作りはスタートする。鋼の強度区分はISO 898-1という国際標準で定められており、

全てのメーカーはこれを満たした材料を使用しなければならない。これを常温下で専用の鍛造機に

通し、求められる形にプレスして行く。冷間鍛造と温間および熱間鍛造は、基本的に材料を鍛造する

温度で分類され、常温のまま複数の金型で高圧プレスを行う方法を冷間鍛造と呼ぶ。冷間の場合、

被加工物が低温の硬い状態のまま加工するため、複数回の鍛造を必要とする。冷間鍛造の金型は、

公差何百分の1ミリという極めて高精度に作られた200に及ぶパーツで構成されており、その分

非常に高精度な加工が可能となる。金型さえできてしまえば、冷間鍛造は熱間鍛造よりも多くの量を

均一の品質で、高速で生産できる。

冷間鍛造単体では作れないような高度で複雑な形状のものは、旋盤やドリルによる切削工程が追加

されることもある。旋盤による加工では、ボルトを高速回転させ、デザインに応じた形状に切り出す

作業が行われる。ドリルはボルト自体に通し穴を空ける時等に用いられる。座金類が予め組み込まれ

たボルトもあるが、その組込作業もこの段階で行われる。

 

熱処理は全てのボルトに対して行われる定番の工程だ。材料の鋼の硬度を上げるため、ボルトは極度

の高温に晒される。一般に「ねじを切る」と呼ばれるねじ部の加工は、そのボルトが転造でも切削

でも、この熱処理の前段階、つまり材料がまだ柔らかい間に行われる。転造によるねじ加工は冷間

鍛造とよく似た工程で、ボルトを回転させながら金型でプレスしてねじ部を成形する。一方で切削に

よるねじ加工は、文字通り切削作業によってねじ部を形作る。

熱処理は材料である鋼の性質を変えて硬度を上げる目的で行われるため、ねじ部の加工は熱処理前に

行う方が遥かに効率が良い。ところが、このねじ部の加工を敢えて熱処理後に行うことで、ボルトの

疲労耐性を向上させることができる。バルトン社のオスカーソン氏に話を聞いてみよう。

「金属は熱処理時の加熱によって微妙に傷んだり、ヒートマークと呼ばれる一種のダメージを受ける

ことがあります。そのため、中には熱処理後のねじ加工を求めるお客様もいらっしゃいます。

エンジンに使うシリンダーボルトなんかはその最たる例ですね。硬度を上げた後の鋼を加工するので

コストはかなり上がってしまいますが、ねじ部の状態はそれだけ良くなります。」

その径の10倍以上の長さを持つ長尺のボルトを作る場合は、熱処理によって元のコイル状の鉄線のように軸が曲がってしまうことがあるため、軸をまっすぐに伸ばすという工程も必要になるという。

 

表面処理は、そのボルトがどこで使われるのか、ユーザーが何を求めるのか、という2点を基準に

決定される。最も多いのは耐食性の向上。電気亜鉛めっきが広く普及しているのは、このためだ。

ボルトを亜鉛溶液に浸して電流を流すと、亜鉛がボルトに凝着してコーティングされる。だが、問題

もある。電気亜鉛めっきではその作業内容上、ボルト内に水素が吸蔵される。このため水素脆化に

よる、いわゆる「遅れ破壊」のリスクが高まってしまうのだ。それを避ける別のオプションとして

は、亜鉛フレークコートがある。電気亜鉛めっきよりも更に耐食性が向上するが、電気亜鉛めっき

よりも高価だ。

 

耐食性を考慮する必要がない場合(エンジンの内部や常に油に接している締結部等)にコストダウン

を図りたいなら、フォスフェートやパーカーライジング等とも呼ばれるリン酸エステルによる表面

処理を行うという手もある。

標準品のボルトであれば、こうした表面処理の工程を経れば後は梱包され、出荷を待つばかりという

状態になるのだが、何かしらの取付金具等とセットになったボルトは、ここから更にアセンブリ工程

が付加されることになる。また、「パッチ」と呼ばれる処理が施されるものもある。接着剤を塗布

したりねじ部にナイロン層をコーティングして緩み止めにするものや、摩擦係数を低減するような

液状パッチをコーティングし、締付作業時に格段に低いトルクで必要軸力が得られるようにするもの

等が挙げられるだろう。

 

あなたの手元にある全てのボルトは、こういった一連のプロセスを全て完了して作り上げられた

ものだ。後はその品質が全ての箇所で一定しているか、他の製品と比較して均一な品質を持っている

かという品質検査を経てボルトは梱包されて行き、パーツを締結するという使命を果たすために

次々と顧客の下へと届けられて行くのである。

 

ボルトができるまで

1. 鋼の鉄線
ほどいて伸ばした後、必要な長さにカット。

2. 冷間鍛造
常温環境下で鍛造機により成形。

3. ボルトヘッド
冷間鍛造の工程内で、様々な金型に順次プレスされて行くことで成形される。

4. ねじ部
ねじを切る方法は、転造と切削の2通り。

5. 熱処理
硬度を調整するため、成形後に高温で熱処理を行う。

6. 表面処理
目的に応じて様々な処理方法がある。例えば耐食性向上を目的とするなら、亜鉛めっきが一般的。

7. 梱包・出荷
定められた水準を全箇所で満たしているかの品質検査を経てボルトは梱包され、出荷を待つ。

【展示会】NEW環境展に出展いたします

私たちノルトロックジャパンは、2018年5月22日(火)~25日(金)まで東京ビッグサイトにて

開催される「2018 NEW環境展」に出展いたします。

日本だけでなく世界的にも社会問題となっているインフラ老朽化、東京五輪に向けた再開発、災害

対策等で現在飽和状態となっている解体事業や廃品リサイクル事業にスポットを当てた本展示会では

重機やそのアタッチメント等の可動部に起こる摩耗そのものを完全解決する「エクスパンダー・

システム」を皆さまに幅広くご紹介できればと考えております。


解体業や廃品リサイクル業では、製造業同様に重機・設備が使用できないダウンタイムは甚大な損失

となっていることから、私たちは

  • 摩耗の補修による重機、設備の使用不可期間(ダウンタイム)の撲滅
  • 可動部のガタつき解決による作業効率確保
  • ブッシュ交換や肉盛溶接による穴補修の撲滅
  • 可動部摩耗の補修を不要にすることでのメンテナンスコスト大幅削減(=品質向上)
  • 可動部摩耗の補修を不要にすることで重機・設備の寿命向上(=品質向上)

 

をエクスパンダー・システムを通してお手伝いいたします。

※ノルトロックワッシャー等の他製品も小規模ながらご覧いただけます

 

■ 2018NEW環境展 出展概要
◇開催日程:2018年5月22日(火)~25日(金)
◇開催時間:10:00~17:00
◇入  場:無料招待券をお持ちの方以外は1,000円
◇開催場所:東京ビッグサイト 東ホール(MAP
◇小間番号:U503
◇主要展示製品:エクスパンダー・システム
        →あらゆる設備機器可動部の摩耗を機械的に防止するピン
◇他の展示製品:ノルトロックワッシャー、スーパーボルト、ボルタイト

 

皆さまのご来場を社員一同心よりお待ち申し上げております。

株式会社ノルトロックジャパン

【採用事例】ハイパーループ・ポッド

実現に近付く 次世代交通システム

※本記事は、Boltedマガジン2018年第1号に掲載されたものです

 

次々と未来の交通輸送技術を生み出し続けるテスラ・モーターズとスペースXを率いるイーロン・

マスクは2015年、ハイパーループと呼ばれる次世代交通システムにおいて、鉄道の車両に当たる

「ポッド」のコンペティションを開催した。このコンペは、世界中の学生が設計したポッドの性能を

競うもので、理論上は空気抵抗がゼロの真空状態となったチューブ状の軌道内を浮上式のポッドが

ほぼ音速(時速1,200km)で走るという、マスクが提唱した夢の次世代交通システムで使用され、

世界中の主要都市間を結ぶネットワークが計画されている。

 

2017年に開催された大会では、ミュンヘン工科大学のWARR Hyperloopチームが見事勝者となり、

チタニウム製のトロフィーを掲げる栄誉を手に入れた。同チームは大会中、ハイパーループ・ポッド

の世界最速記録を塗り替えての優勝となったが、彼らのポッドを締結する各ボルトにもやはり、

ノルトロックワッシャーが使用されている。

 

30名から成るWARR Hyperloopチームは、CADでの構造デザインから調達、財務、マーケ

ティングまでいくつかのサブチームに分かれおり、様々な領域を担当している。CADデザインを

担当するサブチームのリーダーであるフロリアン・ヤンケ氏は、イーロン・マスクが掲げる超高速

次世代交通システム、特にミュンヘン-ベルリン間を片道僅か30分で行き来できるようにしてしまう

という点に殊更の感銘を受けたという。

「イーロン・マスクが“スペースX・コンペティション”の開催を発表した時、これはもうやるしか

ないと思いました。ハイパーループ・ポッドのコンペ本番では全てのステージで上手く行き、最高

速度にフォーカスした最終ステージでは、時速324kmの新記録を打ち立てることができたんです。」

とヤンケ氏は話してくれた。

 

WARR Hyperloopの軽量ポッドは、アメリカ・カリフォルニアのHyperloop Oneが500mの

チューブ内で達成した時速310kmという当時の最速記録を破る快挙を成し遂げた。ヤンケ氏はその

秘密をこう明かす。「1.2kmという比較的短いチューブ内でこれ程のスピードを出すと、当然もの

すごい加速度と振動が発生します。ボルトの締結力を保持することが不可欠だったからこそ、確実に

ボルトを固定してくれるノルトロックワッシャーを採用しました。完璧でしたよ。」

彼らは3度目のコンペティションとなる次の大会にも参加を表明しており、既に第1ラウンドを勝ち

抜いている。2018年のチームは何名かの新顔も迎えており、多くは各々の得意分野で研究開発に

勤しみ、数名が2017年大会で優勝したポッドを携えて、幾多の展示会に参加している。

 

WARR Hyperloopのメンバーたちはスポンサーとしての後援や各種のパーツを得るため、多くの

メーカーと密な関係を築いて来たが、中にはそれらの企業から採用のオファーを受けた者もいる。

彼らは今まさに、未来へ向けて飛び立とうとしている。

【ニュース】BOLTEDマガジン最新号!

BOLTED2018年第1号が完成!

 

お待たせしました!2018年第1号のBOLTEDマガジンがいよいよ完成。3月26日週には皆さまの

お手元にお届けいたします。今回のBOLTEDでは、意外と知られていない「ボルトの製造工程」に

迫ります。誰にとっても身近なボルトはどんな工程を経てどのような技術で製造されているのか?

各工程ごとに詳しく掘り下げて参ります。

また、昨今あらゆる業界で浸透し始めた「3Dプリンティング」についてオランダのスタートアップ

でこの分野の先駆者的存在であるフィリモン・シェーファー氏へのインタビューを行った他、造船

業界史上最悪の不況下で起死回生の事業再建を行ったドイツのMMGのサクセスストーリー等、

今号も盛りだくさんでお届けします!

 

■Web版の先行ダウンロードはこちらから

 

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株式会社ノルトロックジャパン

ボルト締結の第一人者が語る理想の締結

14 3月 2018
comment

テキスト: 岡田 圭佑

本誌BOLTEDマガジンは、日本のボルト締結の第一人者である工学博士、酒井智次氏にインタビューを行う貴重な機会を得た。酒井氏の著書「増補 ねじ締結概論(養賢堂)」はボルト締結のバイブルとして、その発刊当初から高く評価され、賞賛を集めている。

Voice Of Wisdom

※本記事は、Boltedマガジン2017年第1号に掲載されたものです

 

「ねじ締結概論」でも触れられている、酒井先生の考える理想の締結とはどのようなものでしょうか?
「一口で言ってしまうと、特殊なものでなく広く普及した汎用のねじ部品を用いること。そして、

これが問題なのですが、あらゆる不具合を起こさない、そういうねじ締結設計を行うことです。

たった一つの不具合でも起こってしまえば、それで全てダメになる。だから、あらゆることに目を

配っていなければいけないし、全てにおいて不具合を出さない、というのが理想です。「評価漏れが

ない」というのが、私が最も重要視するポイントです。」

 

ボルト締結体にとって、潤滑油の使用はメリットになりますか?

そうです。摩擦係数を小さくするということは、被締結体同士が滑りを起こさないという前提の下

で、あらゆる面において良いことです。しかし大前提として、緩みというものは被締結体同士がある

大きさ以上の滑りを繰り返した場合には「緩む環境」にあるから、摩擦係数が小さければ緩みやす

いし、摩擦係数が大きければ緩みにくい。

じゃあ、摩擦係数が小さいとすべて緩むのかと言われると、被締結体同士が滑っていない場合は

「緩む環境」にないですから、この場合は摩擦係数がいくら小さくても緩みやすいということは

ありません。

 

滑りの原因となる外力について、せん断方向、軸方向、そしてねじれという3つがありますが、
その辺りの お考えはいかがでしょうか?

外力がせん断方向であれば滑り、外力が軸方向であれば被締結材が離れてしまう遊離という現象が

起こってしまいますね。そういう状況では摩擦係数が小さいほど、明らかに緩みやすい。ねじれの

場合は、座面の摩擦係数がこの範囲に入った時に緩んでしまうというものがあるんですが、これは

複雑な相関関係があります ので摩擦係数の大小だけで一概には言え ません。

その滑りに関して、私の「ねじ締結概論」には古い考え方で書かれています。私の本では「マクロ

滑り」という座面のところで被締結体が滑ることを言っています。被締結体がこれだけ滑ると、座面

にも滑りが出てしまうという被締結体の座面に滑りを許さない限界滑り量という考え方なんですが、

これは目視で明らかに確認できる滑りです。0.1mmあれば目で見てわかりますか ら。ところが

1988年くらいから限界滑り量に達していなくても、目に見えないような小さな滑りが実はじわじわと

出ていて、緩み方向に回ったかどうかも目視できない程度の微小な回転を起こして、軸力が徐々に

なくなることがあるというのがわかって来た。その現象は「マイクロスリップ」ないしは「微小

滑り」と呼ばれています。微小滑りからの緩み、その発端になったのが1988年くらいに精密工学会誌

に載った論文でした。

 

例えば被締結体が接触しているとします。その接合面のこの地点でどれだけ滑りが起こっているか、

また別の地点でどれだけ滑りが起こっているか、従来の実験では不可能ですが、これが有限要素法

(FEM)というものであれば、全部計算できるんです。その有限要素法が2000年くらいから、ねじ

の分野にも適用されるようになって、それを用いた論文もたくさん出て来ました。今やねじの研究

は 殆ど有限要素法です。2006年に東大の泉聡志先生が書かれた論文を見ると、マクロスリップ

(目視できる明白な滑り)ではなく、マイクロスリップ(目に見えない微小滑り)が起こっていて

も、少しずつ緩み回転をし始めていると、そういう結果が出てるんですね。私も初めてそれを読んだ

時は非常にシ ョックでした。

 

その泉先生の論文を見ると、マイクロスリ ップと言われる微小滑りでも、繰り返されると微小な

緩み回転、例えば1000回で1度、1回あたり1/1000度ですが、そういう微小な緩み回転が起こって

いると。1/1000度なんて肉眼ではとても観測できません。しかし 有限要素法であれば、完璧に出る

んですね。有限要素法で見ると、実は微小滑りでも緩み回転は起こっているという論文が出て来た。

こりゃ参ったな!と思いましたよ(笑)。

私は微小滑りがフレッティング摩耗にはつながると勿論思ってたんですが、まさか回転緩みの原因に

なるとは、当時の実験では検証のしようがなかったので結果として見逃していました。新しい有限

要素法という、目に見えないものまでミクロン単位で計算できるものが開発されて、驚きましたね。

有限要素法はシミュレーションなので実証するのは大変ですが、ここのところは私も最近考え方を

変えなきゃいかんなと思っているところですね。

 

Facts: 微小滑り
被締結材間で発生する肉眼では確認できない微小な滑り。徐々に軸力損失が発生し、最終的には目に見える回転緩みに発展する。同様に、金属材料のなじみやリラクゼーション等の非回転緩みによっても軸力損失は発生する。

ノルトロックのXシリーズワッシャーは、世界で唯一、回転緩みと非回転緩みを同時に防止できる製品であり、通常のノルトロックワッシャ ー同様に回転緩みを防止しながら独自の皿ばね形状により、非回転緩みをも同時に防止する複合型ウェッジロッキング機構を備えている。

 

※本インタビューは「BOLTEDマガジン」グローバル版用に編集されたものです。酒井智次先生へのロングインタビューはこちらの記事で全文をご覧いただけます。

 

Facts: 酒井 智次先生

  • 1941年 ‒ 愛知県岡崎市生まれ
  • 1979年 ‒ トヨタ自動車勤務時に名古屋大学より工学博士の学位を授与され、主として各種自動車部品の強度・信頼性の試験・研究・開発に従事
  • 2001年 ‒ トヨタテクノサービスへ移籍。ねじに関する教育と技術相談に従事
  • 2007年 ‒同社を定年退職し、酒井ねじ締結相談室を開設。現在もねじ締結に関する教育と技術相談を続ける

【国内事例】ボイラ給水ポンプ(酉島製作所 様)

13 3月 2018
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テキスト: 岡田 圭佑

写真: 酉島製作所、岡田 圭佑

世界を支える文明の「心臓」

 

Customer Data:

  • 顧客:株式会社 酉島製作所
  • 海外売上比率:50%(2016年実績)
  • 製品:MHG-A(ボイラ給水ポンプ)
  • アプリケーション:輪切型ケーシングを固定する通しボルトの締結
  • 採用製品:スーパーボルト(機械式ボルトテンショナー)

 

2019年に創業100年を迎える酉島製作所。同社はこの1世紀に渡り、確かに文明の心臓と表現される

べきものを作り続けてきた企業である。「心臓」というものは通常、その持ち主さえも意識しない

不随意筋で動くものであるが、それと同じくトリシマが作り続けて来たものは絶対的に不可欠である

にも関わらず、意識されることがない。考えてみると、私たちの社会を支えるインフラに関わる人や

設備は殆どが人知れず世界中の「当たり前」を支えている。発電所や製鉄所から上下水道等、水が

必要とされるところに必ずポンプが活躍していると考えて間違いない。平成21年度に実施された財団

法人エネルギー総合工学研究所の調査によると、日本国内では総電力量の約30%がポンプを稼働

させるために消費されている。この数字だけでも、いかに多くのポンプが私たちの社会を支えている

のか想像するに十分だ。そしてトリシマは、高効率・高信頼性のポンプを世界100か国以上に供給

している老舗グローバルメーカーでもある。

 

100年を迎える今も尚、カイゼンを続ける

トリシマの製品の一つに、発電所のボイラ給水ポンプ等で使用される多段ポンプがある。輪切型の

ケーシングが特徴的な『MHG』という製品で、世界中で豊富な実績を誇るものであるが、

それでも高効率・高信頼性を追求する同社は、同製品を更に進歩させた文字通りの名をもつ

『MHG-A(AはAdvancedの意)』を開発した。更なる高効率・高信頼性をもつ同機も、

『MHG』同様に高耐圧ケーシング同士を通しボルトで強固に締め付けているが、非常に高い

圧力が発生する多段ポンプという機器の性質上、ここは極めて高い軸力精度での締結が求められる

重要な締結部であり、ポンプの稼働による高温・高圧および振動という点で非常にシビアな環境

となる。

 

同社はこの通しボルトに求められる締結精度を実現するため、ナットをトルクで回して締め込む

よりも、直接ボルトを引き伸ばして軸力に転化するテンショニングの方が有効と判断し、

『MHG』では油圧式ボルトテンショナーを採用している。『MHG-A』では、より大径の通し

ボルトでケーシングを締め付ける必要があり、油圧式ボルトテンショナー以外にも選択肢を持つこと

が求められた。そこで今回は、酉島製作所 研究開発部 開発課の野間口 慧氏、手塚 啓氏のお二人に

当時を振り返ってもらった。

 

社内に蔓延していた懸念をスーパーボルトが払拭した

「テンショナーは複数の締結部を均一の圧で同時に締結できるというメリットがある一方で、内部の

Oリング(シール)等、テンショナー自体にメンテナンスが必要で、サイズが大きくなると重量も

大きくなってしまうというデメリットももっています。そのため、締付方法に他の選択肢があれば

顧客サービスの観点からもメリットが広がると考えたんです。」社内の会議でも、従来のMHGより

サイズアップしたMHG-Aの通しボルトをどう締結するのが最善かという議論に相当な時間が

費やされたという。「そこで、何ら特殊な工具を使わずに締め付けられる『スーパーボルト』が

使えないか、となったんです。」

 

しかし、スーパーボルトは他に類のない特殊な締結部材だ。採用に当たって不安材料は無かったの

だろうか。「かなり多くの実績があると聞いていたので、焼き付き等の心配はあまりしていません

でした。それより狙った軸力が本当に出せるのか。それだけでしたね。」かくして酉島製作所は

スーパーボルトの社内試験を実施し、その締結精度を目の当たりにすることとなった。「9本分の

締付でスーパーボルトの検証試験をしたのですが、ターゲット軸力に対しての誤差が±5%以内

(本検証試験時)という非常に高精度な締付が行えるということが分かりました。以降、社内で

締付方法をどうするといった懸念は、全くなくなりましたからね。」スーパーボルトの利点の一つ

は、この驚異的な軸力精度にある。これはスーパーボルトの特許構造がもたらすメリットの一つで、

狙い通りの軸力が得られるということは、ポンプ稼働中の過酷な環境下でも緩むことなく強固な

締結が保持できることをも意味している。このメリットを想定通りに得るため、ノルトロック

ジャパンはフィールドサポートによってスーパーボルトの適切な締結作業のサポートも行った。

手塚氏は当時のことを「製品に関するやり取りも非常に迅速に対応してもらい非常に助かりました。

試験の際にも現場で締結作業に関する細かなことまで丁寧に教えてもらえたおかげもあり、大きな

不具合もなく無事に試験を終えられました。」と笑顔で語ってくれた。こうして試作機での水圧試験

など数々の検証を経て、スーパーボルトはMHG-Aに標準採用された。では、この標準採用は

トリシマにとってどのような意義があったのだろうか。

 

大径ボルトの締結方法に選択肢

MHG-A型ポンプの通しボルトを締結するスーパーボルト

 

野間口氏は、最大のメリットは正確な締付を行うのが困難な大径ボルトの締結方法に「選択肢」が

持てるようになったことだと語る。特に同社売上の過半を占める海外向けの出荷については、何らの

特殊な設備を用いる必要もなく、誰が作業しても極めて正確な軸力が得られるスーパーボルトを正式

に選択肢とできることは、ポンプが安定して稼働し長きに渡って設計想定通りのパフォーマンスを

発揮し続けることにも繋がる。

 

人知れず社会を支える「心臓


開発担当の手塚氏。柔和で実直な人柄が、ポンプという機器にも通じる。

 

40年以上の昔からグローバルにポンプを供給し続けて来たトリシマは、2016年にタイとサウジアラ

ビアにサービス工場を設立する等、海外市場でも更なる事業拡大を目指している。このトリシマの

ような企業に対し、ノルトロックグループには何ができるだろう。多くのグローバル企業は、世界中

で製品とサービスを販売しているが、購買が発生した国に売上が付与されてしまう等の理由で国境を

跨いだサポートが提供し難い構造にある。汗水垂らして成果を得ても、他国の成績にカウントされて

しまうという内部的な理由だ。しかしノルトロックグループは、世界中で同じビジョン・ミッション

を共有し、等しく顧客をボルト締結の観点から支える基盤を持っている。例えば今後、トリシマが

中南米など他の地域で新たに受注した際、初回のメンテナンスに立ち会って、適正な取外し/締結を

現地でサポートすることができる。

 

酉島製作所は創業100年を迎え、既に次の100年を見据えている。次の1世紀の間には多くの変化が

訪れるだろう。IoTは空気のように当然のものとなり、AIの進化は社会構造を変貌させ、現代の人々

からは想像すら及ばない世界に私たちは向かって行くだろう。しかし、たった一つだけ言えることが

ある。どれだけテクノロジーが進化しても、社会の「心臓」が消えて無くなることはない。トリシマ

のイメージは、派手で華やかなものではないかも知れないが、心臓は元より飾りを必要とはして

いない。トリシマのポンプは100年後も、人知れずただ黙々と世界の端々に、もしかすると他の惑星

でも、「水」というかけがえのないものを送り届けているだろう。

エクスパンダーは採寸も簡単に

ご使用のユンボが、工場内のクレーンが、あるいはホイールローダーが、可動部の摩耗でガタついて

困っている──。そんな時に活躍できるのがエクスパンダー・システムです。

エクスパンダー・システムは、可動部に起こる摩耗をピン穴内部の遊び(隙間)をゼロにする独自

機構によって解決し、ガタつきや高額な肉盛補修、頻繁なブッシュ交換を撲滅。建設・土木・林業で

使用される重機や工場設備等、あらゆる機器の全ての可動部で使用できるエクスパンダーは、摩耗の

解決によってブッシュ交換を不要にすることで消耗品を無くし、補修作業のダウンタイムを劇的に

削減し、摩耗部の肉盛補修をサービスに依頼して高額な見積を受け取ることも無くしてしまいます。

 

 

■エクスパンダー・システム製品紹介動画(クリックで動画ページへ)

 

 

ピンの寸法はそれぞれのモデルや可動部で異なっているため、エクスパンダーのお見積にはご使用

機器の採寸が必要です。でも心配は要りません。エクスパンダーお見積のための採寸はとっても

かんたん。お問合せフォームに一緒に付いてくる採寸ガイドを見ながらノギスとメジャーで何か所

か採寸するだけです。ノギスがお手元に無い場合は、ノルトロックジャパンまでお問合せいただけ

れば、お貸出しすることもできます。

 

 

お問合せフォームと採寸ガイドは、下のリンクからダウンロードいただけます。もし採寸できない

ところ、よく分からないところがあれば、お気軽にノルトロックジャパンまでお問合せください。

 

 

製品カタログのダウンロード 製品詳細ページへ

 

 

エクスパンダー・システムに関するお問合せ

株式会社ノルトロックジャパン
大阪オフィス│☎072-727-1069
東京オフィス│☎03-6423-1069

Email: nlj@nord-lock-jp.com